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1] 自然植生地は多くの生存エネルギーの生産・供給の場である。

2] 自然植生地は野生生物にって安全な生息地である。

 

2)植物・食料生産と水資源

(4)式で示したように、植物生産における太陽エネルギーの乾物への変換効率は、植物への水供給を律速している気候の乾燥度すなわち放射乾燥度の増加につれて急減する。このことは作物生産においてもそのまま適用できる。その様子が図5に示されている。図にみられるように、トウモロコシの乾物生産量は土地がよく湿っている条件での約12t/haから、土の乾きにつれて減少し、30%の土壌の湿りでは約3t/haと1/4に低下している。これは作物根への水の供給不足により光合成活動が低下し、植物体の形成が著しく不良になるためである。また、収穫係数(=収穫量/乾物生産量)も0.6から0.3へと半減している。それゆえ、次式で与えられるトウモロコシ収量は、十分に湿った条件での約7t/haから約lt/haへと急減した。この結果は、作物生産において水資源の確保がいかに重要であるかを示している。

トウモロコシ収穫量=収穫係数×乾物生産量

現在までの研究から、耕地における作物群落の乾物生産における水利用効率

(WUE)は次のように表わされる(例えばLoomis and Conner,1993)。

031-1.gif

両者の間には下のような関係がある。

031-2.gif

多くの研究者によって種々な作物種の蒸散効率が報告されている。それらの平均値を示すと表3のようになる。表にみられるように、C3作物群の蒸散効率はC4作物群のそれの約1/2で、水の利用効率の低いことが分かる。

 

 

 

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