はじめに
9月9日から12日まで、モンゴルの首都ウランバートル市で、日本財団の後援を得て、第3回結核予防セミナーを開催しました。1994年、95年に行われた2回のセミナーに続き、今回は3回目。4日間の日程のうち最初の2日間を各アイマック(県)知事対象のセミナーにあて、政策や予算の中に結核対策を積極的に取り上げてもらうことをねらいとしました。続く2日は第1、2回のセミナーと同じくアイマックの結核担当医師を対象としており、さらなるレベルアップを目指しました。
モンゴルの結核の状況
モンゴルは第一回セミナーが開かれる直前の94年7月、それまでのソ連式対策からWHO方式の対策に転換しました。この転換により、患者発見の面ではそれまで中心とされていたX線撮影から一変して菌検査による発見に重点が置かれ、新登録結核患者中の塗抹陽性患者の割合は94年の12%から97年は41%と、3倍以上に増えました。また、DOTSも96年から全国規模で展開され、治癒率は94年の31・4%から、97年は69・3%と、倍以上になっています。ただ、新しい方式を導入して患者発見率が上がったことで、新登録患者数、罹患率が増加し、そのため「結核対策をきちんと行っていない」という誤った認識を持たれてしまうとNTC(モンゴル国立結核センター)ツォクト所長が話していました(図 新登録患者数の推移)。
表 モンゴルの結核状況(1997年)
人口 約240万人
新登録結核患者 2,834人
全結核罹患率(10万対) 120
うち塗抹陽性結核患者数 1,171人
塗抹陽性罹患率(10万対) 49
結核死亡者数 115人
死亡率(10万対) 4.8