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ここが問題

 

 

なぜ「保健あって介護なし」が起こるのか

神戸市看護大学 教授 岡本 祐三

-介護保健が明らかにするもの-

 

<今も深刻化する高齢介護保険問題>

介護保健実施を前にいま、もっと肝要なことは、「寝かせきり」という誤った介護思想と、貧困な介護体制のために悲惨な状態に陥っている、いわゆる「寝たきり老人」と困窮する家族を、私たちの社会はすでに大量に抱えてしまっているということである。

この問題は少なくとも二〇数年前、一九七〇年代から、「介護地獄」「寝かせきり老人」「劣悪老人病院」として社会問題化し、現在もなお、引き続き存在し再生産されているのである。なぜ現在もなおそうであり続けているのか。要するに「租税あって介護なし」という中央および地方政府と行政の、この問題の解決への努力が足りなかったからである。

 

 

 

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