先ほど成田美術館の話もありましたが、黒壁に人が集まるから、また黒壁とはひと味ちがったものを見ていただこうとつくられたのが、成田美術館ではないかと思います。だから黒壁を推進していらっしゃる方も、本当に成田美術館さんを仲間と思いながら、自分たちがつくった地図の中にそれを書き込み、そして一緒になって、こっちを訪れた方があっちにもおいでになるような仕掛けの輪を広げていくという、そういうことが輪をまた大きくしていきます。ぜひそれは気長に輪をまた広げていっていただければと思います。
先ほどのパネルディスカッションの時に話しましたように、一番簡単な例を言いますと、要するにその装置というのは「焚き火」です。焚き火は温かい。だからそのまわりに人が集まり輪をつくる。そういうことをイベント化することによって、だんだんとまちづくりに広がっていくのだろうという気がします。
今日、お聞きした中で番心に残ったのは、皆さんの中で大きな迷いとなっているというか、心配事としてあるのは、リピーターの問題も含めて、どう人と人とがつながっていくのかということだと思います。それをつなぐためのプロセスは、今、申し上げたとおりです。リピーターを求めるためにどんな広告宣伝をしたらいいかという話がよく出てきますが、広告ということの一番の基本はロコミです。自分の信頼する人が「あそこは行ってよかったよ」「おいしかったよ」と言うと、それはもうどんな宣伝文句で宣伝するよりも確実なのです。広告の基本というのは、そのロコミをどう補助するかだと思います。だからそのロコミをどう起こさせるか、そしてそのロコミをどう広く伝えるかということが広告宣伝する人たちの業務であって、そういうふうに考えることがリピーターを呼ぶ1つの方法ではないかと考えています。
何も結論めいたことはないのですが、私が取り組んだ野外劇、それは全くフランスのルピデゥフで起こったことを借用しただけなのですが、そういうようなことを自分たちの会社、行政、企業などの中で当てはめてお考えいただければ大変幸いだと思います。
それでは大変長い間、どうもありがとうございました。