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恐らくすぐに結果を求めても無理だと思います。しかし、どういう点に留意して進めていけばいいのか、効果的な宣伝をどういうふうに絡めていけばいいのか、その点についてご教示いただけたらと思っています。

○参加者(篠山・滋賀県商工観光政策課観光企画係)

滋賀県では平成8年に琵琶湖博物館を県立でつくり、今年の9月に琵琶湖ホールが完成し、ハードの大きな整備というのは一段落した状況になっています。

今、財政の状況が非常に厳しい中で、予算を編成するにしてもソフトでアイデアを出せと、非常に厳しく言われている状況です。

徳島県さんからもグリーンツーリズム、エコツーリズムという話がありましたが、滋賀県は「環境こだわり県」ということで売っている面もあります。やはり環境との結びつきというのは、これから非常に大事ではないかと考えられます。

それから、人にやさしい観光地をつくるということで、一般的に障害者対応のバリアフリーということも考えています。これから高齢化社会ということで、お年寄の観光客も非常にたくさん受け入れていくべきだと思われます。そういった方を受け入れる体制を、人を中心につくっていくことが必要であり、ボランティアガイドの方の活動の支援についても力を入れていきたいと思っています。

○広野

まちづくりに有効な1つの方法として、イベントというものがあると思います。今日お話するのは、まちに元気を取り戻すために活用されるイベントです。

皆さんはイベントというと、楽団や歌手を呼んできて、何かショーをやらせるというようなイメージをお持ちになっていると思いますが、今われわれが話そうとしているイベントは、イベントが目的ではないのです。あくまでも手段なのです。つまりイベントをつくりあげる過程そのものを我々はイベントと呼んでいるのです。イベントそのものは表の顔です。しかしこれをつくりあげるにあたって、いろいろな町の人たちと関わりを持たなければなりません。賛否両論が起こります。いろいろなトラブルが起こるのです。それを解決しなければなりません。そこに大きなざわめきや揺れが起こります。そういうざわめきや揺れもひっくるめて、我々はイベントと呼んでいるのです。これがまちおこし、まちづくりという中でのイベントの考え方です。この多難な過程こそがイベントの一番大切なところです。ざわめきや揺れが大きければ大きいほど、イベントの効果は絶大です。町の人たち、行政自らが横ぐしに調整し合いながら1つのものをつくりあげていく必要があるのです。それをやらないと最終的にまちおこしとか、活性化だとかは起こってこないのです。そしてこれが起こらないと、町に元気が取り戻せない、魅力ある町にはならない、観光促進にはつながらない、ということなのです。

私は日本の行政の中で仕事をたくさんしてきましたが、住民の最大公約数の意見を大事にしてきたために、今、日本中の町では沈滞、不活性化が起こっています。やはり行政の主になる人が、町の中に賛否両論を起こし、ざわめきを起こすことが町の活性化につながるのだと信じてやっているかどうかがキーポイントになります。

 

 

 

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