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つまり世界でも超権威のある人が来て、その人のお墨付きのガラスが長浜にあるということです。これは日本全国どこにもありません。これは極論すれば、これからはガラスは日本では長浜が一番だということになるだろう、ということです。世界中を見ても、その人の作品は特定の場所にしかないということになってくれば、当然長浜のガラスのステータスはだんだん高まってきます。

○参加者

江刺市に出られたということですが、そのほかに全国展開をされる話はありますか。地方都市に「黒壁」として出る計画はあるのでしょうか。

○清水

可能性はないことはない。逆説的な言い方ですが、江刺に出たのは、江刺は条件が悪かったからです。東北の田舎で人口がどんどん減っている地域。今、我々の町は視察の団体がたくさん来ていますが、それらの中でも条件としてはあまりよくありませんでした。しかし逆に江刺で成功すれば、日本全国どこでも成功するのではないかという自信を持っために思い切って江刺に出たという経緯があります。オープンしてからまだ2ヵ月余り。今のところはそこそこ順調にいっていますが、今後どうなるかはわかりません。

長浜も今はいろいろな悩みを持っています。商業主義的な発展に偏重しすぎているきらいがあるのです。「黒壁」近辺にはそういった「黒壁」的な環境向けの施設もあれば、昔からそこに住んでいらっしゃる方もいる。

商店街としても、今は全く観光客向けの商店街になりつつあります。地元向けのロードサイドショップ、観光客向けの中心商店街という形で、全くの分化が進んでいます。そういったことが本当にいいのか、長浜の場合は確かにたくさんの人にどんどんお越しいただいて、産業としては成り立っているけれども、人がだんだん住めなくなっている。そういった大きな課題も長浜にはあるということを、逆に皆さんにご承知おきいただきたいと思います。長浜市にお越しいただき、新しい目でまたご示唆をいただければありがたいなという気がしています。

長浜の「黒壁」は成功したけれども、これが三重で成功するのかどうかは大変難しい話です。最初に「成功しない」と言いましたが、皆さんのやる気があれば成功する。長浜が今、抱えている問題も含めて解決するような開発がなされれば、先ほどおっしゃられた川崎でもできるのではないかと思います。ただ1つ言えることは、いろいろな形で核になる人が、その展開には必要であるということです。

我々の地域で誇れることは、官と民の境がなく、みんながいい意味でのパートナーシップの関係が保たれている町であるということ。これがあったから「黒壁」が成功したと思っています。

 

 

 

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