熟成を待たなければならないからです。元気になるというのはその地域の人たちの心の問題だから、それをやるためには時間をかけざるを得ません。みんなが元気にならなければ観光促進もできないということで、町を起こしていく基盤となる人をどう養成していくかが大切です。
○参加者
三重県の外郭団体、第3セクターで運営しているパール・レストハウスから来ました。
私どものところは半官半民で、観光客相手に仕事をしています。以前は収益はとんとんでいいということでやっていましたが、これからは収益を目的にしないと観光事業はやっていけないということで、私も企画、イベントを考えよと、上司から言われています。
公共施設は地域に密着した形でやっていかないと成功しないということでしたが、それがだんだん変わってきつつあると思っています。まちおこしがイベントにつながるかどうかということをお聞きしたいのです。
○広野
ふるさと創生の時、1億円を使って成功したものと成功しなかったものがありますが、その違いは、やはり町の人々の意識でした。再発見・再認識をさせるような仕掛けがイベントの中にあったかどうか。単に見せ物として行われたものは、今は全部跡形なく消えてしまっています。
今度、三重県が「ビジターズ・インダストリー」という形でやっているのは大変おもしろいと思います。この中にベーシックな部分、町にどうやって元気を取り戻せるかという仕掛けをまずつくらなければ何もはじまりません。
今、第3セクターがうまくいかないと言われていますが、その理由は責任転嫁があるからではないでしょうか。1つのイベントをやる時、それに関わるものみんなが同じレベルに立って、互いの長所を発揮させる環境をつくってやるべきだと思います。
中・長期的に町が元気になるような仕掛けをどうつくるか、そして早く結果を出すことや早く収益をあげることをいかに我慢するかなのです。
○参加者(西条)
今、我慢ということを言われましたが、民間企業のサイドにおいて、我慢ということになると、結局会社がつぶれるということにつながります。そこまでいかない間に、最良のイベントをやる1つのつなぎというのは可能でしょうか。
○広野
つなぎというのは、私はイメージとしてはありません。ただ、つぶすということではなくて、企業のあり様を根本的に変えなければならない時代がきたのではないでしょうか。自らの足りないところは素直に他の力を借りるという姿勢が、企業を救うのではないかと思っています。互いの弱いところを補いながら互いのメリットにもなる協力体制は、必ず存在します。まずメンツを捨てることです。
産・官・学・民、この4者が互いの活性化のために集まって、何か小さなことができれば、次にもう少しレベルを上げてみる。それでまたうまくいけば…というように、小さなことから盛り上げていけばいいと思います。