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○清水

今日は、長浜市の「黒壁」が三重でも成功するかという課題をいただいていますが、私はあえて三重県では「黒壁」は成功しないと申し上げたい。長浜は人を呼び寄せることを目的とはしていないからです。自分たちは、住みよい地域をつくるための手段、手法として、人を呼び寄せることもあるということが基本だと考えている。それはそこに住む人の考え方であったり、人のネットワークであったりするのです。そういうことはまだ三重県にはないのではないか。ちょっと辛口の言い方ですが、そう思っているからです。

先ほどの広野さんの意見に私も同感で、その地域に住んでいる人がやはりその地域をよく知って、愛着を持つこと、誇りに思うことが基本的な事柄だと思います。長浜市において、どんな町にしようかというのを言葉で表すと、「博物館都市構想」になります。町が博物館のように魅力があれば、博物館に学芸員がいるように、そこに住んでいるみんなも町のことをよく知って、来訪客に誇りを持って語れる市民総学芸員になろうと言っています。このことが観光において番大切なことではないかと思うのです。

まちづくりというのはある意味ではコミュニティーディベロップメントだと言われます。その地域に住む人が夢を語り合えるようなネットワークをつくることが大事なような気がします。そういうことについては、我々の町は官民の隔ては全くありません。

○高崎

今日のサブタイトルは「外国のお客様は来られていますか?」ということですが、「外国のお客様」という言い方をしても、例えば観光を目的の方だけではなく、当然ビジネスが目的の方もいらっしゃる。昨年日本にお越しになった訪日外国人の方は420万人ぐらいですが、4割以上の171万人が観光以外の目的でした。食事もされるし、泊まられるので、観光客と同じように見ていく必要性があるでしょう。だからビジターズ・インダストリーという言い方をしているのだと認識しています。

それからもう一点、ターゲットの問題です。以前の国内旅行は男性が中心でした。しかしここ10年間ぐらいで旅行の決定権を持つのは女性が多くなってきました。今は一人十色と言われるように、多様なニーズが存在します。本当にお客様の立場に立った時に、それぞれ性別も違えば年齢層も違うし、持っている時間の使い方も違う。それぐらい細分化された時代になっているのです。現在はその流れの途中であるわけです。しかしとりあえず現在は、女性の意見は重視しなくてはいけないというのは私どもの業界でも言えることです。

 

 

 

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