国際観光概観
TOURISM Highlights
WORLD TOURISM ORGANIZATION
1970年概況
世界の概況
■ 1996年の国際観光は、消費者の購買力が回復したこともあり順調に伸び、国際観光客到着数が対前年比5.5%増、国際観光収入(国際線運賃収入は除く)が同8%増を記録した。これらの最終数値は1996年末時点での推計値を上回っている。
■ 1997年の暫定値を見ると、96年に比べ対前年増加率が落ち、国際観光客到着数が対前年比3%増の6億1,300万人、国際観光収入(国際線運賃収入は除く)が2.3%増の4,440億ドルであった。この主な原因は、東アジア・太平洋地域が1989年以来最悪の数字を記録したことである。
■ 各国・地域が、雇用の創出と収入をもたらす産業として、あるいは既存の産業に代わりうる産業として観光を認識し始めたため、観光宣伝は競争が激化した。観光に関する最近の動きとして特徴的なことが3つ上げられる。一つは環境保護に対する消費者の関心の高まりである。環境を大切する観光目的地を訪れ、またその環境を守ろうとする旅行者が増えており、環境破壊につながる恐れのある観光開発に対して厳しい態度をとる人が増えてきている。第2の動きは、観光と娯楽やギャンブルを結びつけた人工の観光魅力(テーマパーク、メガ・リゾー卜など)の開発である。第3が、多くの主要旅行者送り出し国、特に戦後のベビーブーマーが多い国で人口の高齢化が進んでいることである。また、文化的な旅行商品への関心も高まっている。
■ 1997年の国際観光客到着数の対前年増加率を地域別に見ると、現時点の暫定推計値では、微増に止まった東アジア・太平洋地域を除いてすべての地域で大きな伸びを記録した。
■ 地域別の国際観光客到着数(1997年暫定推計値)は以下のとおりである。
●アフリカは、南アフリカとモロッコヘの到着数が伸びたため世界で最も高い伸び率を記録した。
●南アジアは、世界で第2位の到着数増加率を記録した。これに、中東、欧州、米州が続く。
●東アジア・太平洋地域は過去最悪の記録で、1996年の二桁に近い伸び率から一挙に1%の微増にまで落ちた。
●欧州は3%を超す伸びを記録し、順調であった。