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第5章 トルコ及びシリアの観光評価及び今後のあり方についての提言

 

1. トルコ・シリアの観光の現状と評価

 

今回の調査結果および参加団員からのコメントをもとに、トルコ・シリアの観光の現状を検討・評価するにあたり、評価項目を分類し各項目毎に細分化して検討した。項目選択については、今回の調査の目的(トルコ・シリアにおけるシルクロード観光の現状と今後のシルクロード観光振興に向けての提言)及び調査日程(全17日間)と調査地域(トルコではアンカラ及びイスタンブールとカッパドキア、地中海沿岸地区、シリアではダマスカス、パルミラとハマ、ホムス)を考え合わせたとき調査できた地域が限定されていること、調査日数にも制限があることから本調査において把握が可能であった項目を主にして取り上げた。

まず、項目については資源、観光関連施設、観光ガイド、料理・飲食、絵はがき・スライド、観光土産物・芸能等、観光マーケティングの7つを取り上げた。中でも資源、観光マーケティングについては様々な角度からの評価がなされている。資源の中でもトルコ・シリア両国共に要となる歴史・文化資源では、6千年前にも遡るヒッタイトから始まり、ギリシャ・ローマ、ビザンチン、イスラム、十字軍さらには海洋性リゾートから自然景観にわたり多種多様な資源の中にシルクロード資源は目立たなくなってしまっていると言える。両国の観光関係者や民間旅行関係者の間にもシルクロード観光に対する認識の薄さが感じられる。従って、シルクロード観光振興(マーケテイング・プロモーション)に限っては両国ともこれから腰をすえて取り組んでいくことになろう。両国とも、従来からヨーロッパ市場を向いて観光客の誘致を行ってきたが、シルクロードの持つ東西文化の架け橋のイメージからは今後、周辺関係国や中央アジアのシルクロード沿線国を巻き込んだ共同パッケージツアーの創出などが考えられよう。

この他、観光関連施設においても改良の余地が多く、特に海外観光客の主要なゲートウェーとなるイスタンブール、ダマスカスの両空港とも待合室、駐車場が狭く、売店やレストラン等が魅力に欠け、国際水準から遠いと言わざるを得ない。

既に述べたように、両国とも歴史観光資源は豊富に存在する。従って、ひとたび関係者の中でシルクロード観光振興への認識が高まれば、そのポテンシャリティーは高い。

 

各資源の項目毎の内容については次頁の表(トルコ・シリアの観光資源評価)を参照下さい。

 

 

 

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