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第4章 トルコ及びシリアの観光行政と政策

 

1. トルコの観光関係組織

 

トルコにおける観光行政は、すべて観光省の所管になっている。1963年12月、The Ministry of Tourism and Promotionが設立された。その後、文化省との合併を経た後、1989年に分割し現在の姿になっている。図4-1に観光省の全体組織図を示す。観光省の組織は、観光大臣のもと、中央組織、地方組織、海外組織の3つに大別される。中央組織では6つの主要な実施・管理部局、監査役と諮問機関並びに顧問と委員会からなる助言機関、またこれらに付属する地方、海外の観光事務所等から成り立っている。

主要6部局は、投資局、企業局、情報局、観光人材養成局、海外交流部と研究・企画・調整委員会からなっている。

地方組織との連携は観光行政の推進に重要な役割を果たす。地方組織には、地方観光事務所(全国で80カ所)、観光案内所(国内63カ所、海外23カ所)そして観光人材養成局の下部組織となる観光静町練センターがある。地方組織においては知事を筆頭に観光行政も行われる。従って、地方事務所の観光部長も知事の傘下に入り、この意味で中央、地方との連携・協力は必須となる。

 

2. トルコの観光開発方針

 

(1) トルコの観光政策

トルコの観光政策は次の3つに要約される。

1] 国際競争力を備えたツーリズムセクターの形成

2] 国際・国内観光客のニーズに答え国内観光関連施設を充実しく観光から得られる便益を国民に還元する。

3] 自然、文化資源の保全を図る。

トルコの観光発展の歴史を振り返れば(1960年代トルコの観光はまだ緒についたばかりであった。1963年、計画経済の開始と共にインフラの改善に力が注がれ、宿泊施設の向上、観光に携わる人材の育成に力が注がれた。1983年、観光促進法(Tourism Encouragement Law)が施行され、トルコ国民及び外国資本による観光部門への投資が奨励された。1980年代末の環境への配慮が世界的な高まりを見せる中、「持続可能な観光」、「ソフトツーリズム」と言う新たな概念が取り入れられた。

トルコ観光を多様化させ、四季を通じた観光をトルコ国内に広げると言う観光省の考えのもとに、山岳・高原、温泉、冬期、ヨット、ゴルフ、河川、トレッキング、洞窟、サイクリング等に特化した観光発展を推進している。

観光統計が示すように、1981年に世界の観光収入(USD 104.3 billion)に占めるトルコの割合は0.3%、ドル換算でUSD 300million,1990年には、シェアが1.0%(USD 3.2 billion)となり、1997年の予測ではトルコの観光収入はUSD 7 billionにもなろうとしている。

(図4-2:平成9年度中東観光振興セミナーカントリーレポート トルコより)

 

 

 

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