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3. 本年度調査の位置づけ

 

当シルクロード調査は平成7年度北京、蘭州、西安3都市の調査を皮切りに、平成8年度は中国河西回廊を中心とした甘粛省の調査を行った。この調査は北京を経由し、敦煌、嘉峪関、蘭州、西安等を訪ね、古くからのシルクロードの要衝として豊富な人文資源、自然資源や歴史文化都市を視察している。

また3年度(平成9年度)目には、中国西域(新彊ウイグル自治区)を訪れ、ウルムチ、トルファン、コルラ、クチャ、アクス、カシュガル、カラクリ湖などの歴史ある都市や文物資源を視察、政府・民間の観光関係者と意見交換を行っている。

今年度(平成10年度)は、東西文明の十字路として歴史上重要な意味を持ち、シルクロードの結節点となってきた中近東のトルコ及びシリアを訪問した。これまで3回の調査では、シルクロードの東端にあり、東(アジア)の文化・文物の出発点である中国を中心に行ってきたが、今回はヨーロッパとアジアをつなぎ、シルクロードの交易上の中継路ともなってきたトルコ・シリアに焦点をあて、トルコではイスタンブール、アンカラ、カッパドキア、アンタルヤ等、シリアではダマスカス、パルミラを中心に訪問し、ギリシャ・ローマ文化・遺跡を中心にビザンチン、イスラム、オスマントルコ等豊富な歴史資源の中にある両国のシルクロード資源の調査を行うと共に、シルクロード沿道国におけるシルクロード観光振興への積極的な参加を呼びかけてきた。

 

4. シルクロードの観光をめぐる動き

 

(1) これまでの経緯

シルクロード観光については、1994年10月、WTOとUNESCOの共催で「シルクロード・プロジェクト会議」がウズベキスタンのサマルカンドで行われ、日本を含む関係の19カ国が「サマルカンド宣言」を採択したことにはじまる。以後、シルクロード沿道地域の観光交流・観光振興を目的とした会議等が行われたが、昨年度(97年度)までの経過(概要)は以下に記す通りである。

1] 開催時期・開催地:1994年10月、サマルカンド(ウズベキスタン)

主催:WTO、UNESCO

会議名等:「シルクロード・プロジェクト」会議

参加国:19カ国

成果:サマルカンド宣言によるシルクロード観光の促進

2] 開催時期・開催地:1996年6月、西安(中国)

主催:WTO

会議名等:「WTOシルクロードフォーラム西安」

参加国:23カ国

成果:「WTOシルクロードフォーラム西安」の声明、シルクロード観光の商品開発、航空ルートの開発等

 

 

 

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