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回収期間

4.67 回収期間とは、初期投資から収益を得るまでに要する年数である。たとえば100ポンドの投資から年25ポンドの実質便益や費用節約が得られるとすれば、その(割引なしの)回収期間は4年となる。回収期間だけでは意思決定原則には成り得ない。その理由は、(割引ずみのキャッシュフローを適用しない場合に)便益発生時期を直接考慮に入れない点である。さらに重大な理由は、回収期日後に発生する費用や便益も考慮に入れない点である。

 

支出限度

 

4.68 特定の年に支出削減を図ることもできる。支出削減は事前評価の重要性を損なうどころか、むしろ限られた資金で最大の便益を図れるような資金の使途を選択するという重要性を高める。だが、その選択の技術的困難さも助長する。支出削減は選択肢の選択にも影響を及ぼしかねない。支出削減がなければ最優先される選択肢が、非常に厳しい支出削減が予想される期間に莫大な支出を必要とする場合には、特にそうである。

 

4.69 しかし、支出削減が短期的にも長期的にもさして厳しくないと予想される場合は、公共費の削減や公共収入の増大を図るための投資資本を削減すべきではない。総支出のシーリング内でそうした投資を実施する方策を講ずるのは非常に困難であろうが、経費節減は投資と同等の効果を生む。

 

4.70 支出削減が行われた場合にプロジェクトの選定に役立つ方策がある。それは、削減対象の支出に対する純現在価値(NPV)比に応じてプロジェクトのランク付けを行うという方策である。ただし、このランク付けは慎重に行う必要がある。総合的な純現在価値比が高いプロジェクトでは、純現在価値比が低い個別要素を含めることを避けるべきである。また、総合的純現在価値比が低いプロジェクトでは、純現在価値比が突出して高い要素を排除すべきである。

 

4.71 正当な根拠がないのに、長期的プロジェクトを犠牲にしても短期的プロジェクトに有利になるという理由から、支出計画に対する支出削減手段として割引率を引き上げるべきではない。

 

 

 

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