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段階的実施

4.6 通常の事前評価では、支出の代替時期や代替段階を選択肢の一つとして検討すべきである。一般的に、支出時期が遅れると、プロジェクトの便益発生も遅れるが、プロジェクトの段階的実施を変更し、全体の業績を高めることが可能な場合もある。支出延期がリスク削減化に役立つこともある。

 

構成部分

4.7 たとえば、選択肢の結果や費用が実施中の別のプロジェクトに左右される場合には、選択肢が他の支出や公共事業に影響を与えたり、他の支出や公共事業の影響を受けることもある。多くの支出や事業が互いに関連し合い、費用や便益も相互依存関係にある場合は、そうした事業案を全体として正統化することが重要になる。このように互いに関連のある事業案は、まとめて一つの選択肢として事前評価すべきである。

 

4.8 逆に、一つの提案の各部分を個別に正統化するのを当然とみなすべきではない。しかし場合によっては、そうした提案をいくつかの独立した個別選択肢に分割する必要もある。一見して優れた提案にも、価値の高い要素と価値の低い要素とが混在している場合もある。価値の低い要素は排除すべきである。一般的には、正味現在価値(NPV)が最も高い各種要素を組み合わせたものを選択すべきである。

 

期限

4.9 期限の選択が重要な場合もある。通常、事前評価の期限は関係主要施設の経済的または物理的寿命、サービスが必要とされる期間によって決まる。通常は、各種選択肢間の重要な費用格差や使益格差をすべて包含するのに十分な期限を設定すべきである。こうした期限には、省庁の計画立案体制や予算編成体制に基づく人為的制約を加えるべきではない。

 

4.10 費用や便益が一定のレベルや変動率で無限に存続するものとみなすべきではない。プロジェクトの期間が非常に長い場合には、特定の年数に分割し、短期間の効果を例証すべきである。組織再編成や移転に関する評価を行えば、適切な評価期限を設定する際に生ずる特定問題を提示できる。つまり、将来の移転や組織変更の可能性を評価期限に反映させる必要がある。それには、過去の経験が何らかの手引きとなる場合もある。寿命期間の異なる各種選択肢の比較については、第4.60項-第4.61項で検討する。

 

民間部門の参加

4.11 公共団体では通常、既存資産を利用したサービス供給において競争入札させるにせよ、新資産で活動させるにせよ、公共サービス供給に民間部門が参加できる範囲を模索している。民間の資金供与から生ずるいくつかの特殊問題については、別添Dにおいて検討する。

 

 

 

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