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まえがき

 

このガイドに記載する中央政府による事前評価と事後評価の基本原則は、プロジェクト、プログラム、政策のいずれであろうと、また支出や経費削減あるいは資源利用方法の変更を必要とするいかなる活動にも適用される。

 

このガイドは、いくつかの基本原則はもとより、さらに幅広い幾多の技術的指示書に基づいて作成されたものである。ただし、そうした技術的指示書は、適正慣行に対する共通の認識が認められるものである。

 

第1章では、事前評価と事後評価に関する概要を述べる。第2章と第3章では、この分野における未経験者や知識と経験の浅い者を対象とし、事前評価と事後評価に関する予備知識を記載する。第4章では、事前評価や事後評価を実際に行う者を対象に技術的問題に関する助言を与える。

 

本書は、最初から最後まで一気に読み通すことを狙ったものではない。第1章から第4章へ、さらに別添、添付資料へと進むに伴い、ますます詳細な内容になっている。そのため、本書を読まれる方はそれぞれのニーズに合わせて読む個所を選ぶこともできる。

 

本版は1991年度版に代わるものとして、大幅な改訂が加えられている。評価に関しては一層充実した内容になっている。また、環境への影響に関する事前評価と事後評価も一段と重視されている。金銭的に評価しにくいこうした影響や費用便益については、その処理方法の推移も考慮に入れている。さらに、民間資金導入も考慮し、それに伴うリスクと不確実性の扱い方については一層詳細に検討している。産業新興計画や地域計画の項も拡充し、景気浮揚を目指した多彩なプログラムを検討している。

 

このガイドでは、公共部門の実質割引率として通例6パーセントが採用されていることを認めている。技術的別添では、資本費用と時間選好の面から割引率の演算についてさらに幅広く検討している。

 

このガイドは、省庁が作成する技術的指針書に代わるものではない。多くの領域では、本書とも整合し、それぞれのニーズにも合った各省庁特有の手引書が必要になる。本書の参考文献目録には、こうした省庁特有の指針書も多く収録されている。

 

本指針書の既刊版は、地方自治体のいくつかの分野や中央政府の外部で利用されてきた。そうした形での利用も歓迎はするが、本指針書はあくまでも中央政府のニーズを念頭に置いて作成されてきたものである。

 

事前評価と事後評価のトレーニングは重要である。本指針書はこの面でも大いに役立つ。

 

本書の内容や説明の仕方などで改善すべき点があれば、英国大蔵省の中央ミクロ経済チームへ遠慮なく改善案を提示されたい。大いに歓迎する。

 

 

 

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