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地方自治体の在り方について

住民参加のセッションの後、コーディネーターの森田教授から「住民自治から考えると市町村の規模は、なるべく小さい方が理想ではあるが、反面財源が限られており、いかに効率的に行政を進めるかが大きな課題となっている。次のセッションでは、市町村の規模の問題、行政の効率性の問題を議論したい。」という話があり、その後の議論が展開されました。まず、木村助教授は「これからは自己責任の時代であり、中長期的に見て財政的に自立できる規模に市町村は再編成されることになるのではないか。財政調整は残っても小規模な自治体に何十億もの財源が交付されるようなことは無くなるのではないか。」と財政学的見地から今後の市町村再編についての意見を述べられました。続いて近清副会頭は「中山間地域では今後も人口の減少が予想される。今後、老人介護の問題等で市町村の役割がますます大きくなるが、効率的かつ効果的に施策を実施するには一定規模の大きさの行政システムにすることが必要である。」と市町村合併の必要性について論じられました。米田座長は「地方分権の主役は市町村である。40年前の市町村合併とは時代状況が違う。

市町村は権限と財源だけでなく独自性のあるまちづくりができるよう企画力をつけることが重要である。」と発言されました。佐藤町長は、現行の問題点を指摘しつつ、「今後は、福祉等の住民に密着したサービスは現行の市町村単位で行い、収益性を伴う事業は公社等の経営責任を伴う事業体で広域的に対応していくべきではないか。」との考えを示しました。これに対して圓藤知事は「国・地方を通じての行政改革ということを考えた場合、地方も協力しなければならない。また、少子高齢化により、町村を中心に人口の自然減が猛威をふるっており、市町村の存立基盤である人口自体が深刻な事態となっている。市町村合併というのは避けて通れない道ではないかと考えている。」と述べ、将来に向かって活力ある徳島づくりを行っていくため県民の皆さんにこの問題について積極的に議論していただきたいと要望しました。

終わりに、コーディネーターの森田教授が「市町村合併は、限られた資源をできるだけ有効に使ってサービスを維持していくためには一つの有力な選択肢ではないかと思われる。」「今後、依然として国・地方とも厳しい財政状況が予想される中で、地方がこれから行っていかねばならないサービスは、高齢社会の到来とともにますます増大していくと思われる。そのような中で行政改革を行い、また、ボランティアの協力を求め、積極的に努力していく自治体には、はっきりとした結果が現れ、未来が開かれていくと思う。」とパネルディスカッションを締めくくられました。

 

おわりに

地方分権推進計画が閣議決定されるなど、地方分権はいよいよ実施段階を迎えようとしています。このような時期に徳島において全国規模のフォーラムを開催できましたことは大変意義のあることでありました。これを契機に行政関係者のみならず住民の方々にも地方分権について御理解を賜り、御支援と御協力をいただければ幸いであると感じています。最後にこの場をお借りして地方六団体、財団法人自治総合センターの皆様をはじめ、本フォーラムの開催に御協力をいただいた関係各位に厚くお礼申し上げます。

 

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