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市政50周年記念事業

「全国花と緑のフェスティバル鹿沼大会」

山田龍男(栃木県鹿沼市経済部林政課長補佐)

 

はじめに

平成10年5月30日から6月14日までを、フェスティバル期間として位置づけ、27回をむかえる「鹿沼さつき祭り」を核に、記念講演や演奏会、野鳥の森オープン事業などを開催いたしました。開催期間中の入場者は57万人と、経済不況下にもかかわらず多数の方々に訪れていただきましたことは、ひとえに自治省ならびに自治総合センターのご指導、ご援助の賜ものと心より感謝申し上げます。

鹿沼市

関東平野の北部に位置する栃木県。栃木県の中央から西北部にかけて横長の鹿沼市は、緑豊かな森林と黒川、大芦川の渓流の流れ、前日光県立自然公園の山懐に抱かれ、霊山・日光山、そして日光東照宮にまつわる例幣使街道の宿場町として発展してまいりました。いま鹿沼市は、10万市民のパワーを結集して『人と自然が彩る「風景のあるすみよいまち」』を将来都市像に、21世紀に誇れる「カヌマビジョン2010」の実現を目指して着実な変化と進展を遂げていこうとしています。

花と緑

鹿沼市は「花と緑」とはきっても切り離せない関係があります。それは風土が育んだ「鹿沼土」に起因します。「鹿沼土」は全国に知られた園芸用土、鹿沼市付近帯で産出する浮石質火山砂礫の堆積風化物で、多孔質の粘土粒塊のため、決して過湿にならず、空気の供給が良く、水分を植物の根に十分に供給することができます。また、地下に埋蔵するため雑菌を保有せず、病害にかかるおそれが少ないため、抵抗力の弱い幼苗、挿木の育成床土に最適なものとなっています。この日本一の園芸用土から育ったのが、これまた日本一の産地と呼ばれる「皐(さつき)」。日本で生まれた花木である皐は、江戸時代、大名や武士の間で愛好されていた園芸でしたが、明治以降に大衆化され、昭和40年代に「光の司」や「秀峰の光」などの剣弁花が作られてから全国的なブームが巻き起こりました。鹿沼市では昭和47年に市の花に指定。昭和50年には、皐を含む緑化産業拠点、市営花木センターがオープンし、毎年5月末には質・量ともに全国一の「鹿沼さつき祭り」を開催しています。

 

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とよだみき氏記念講演

 

シンポジウム

6月1日に市営花木センター内みどりの産業館で行われた記念講演では、「ガーデンのある豊かな生活そして美しい街並みへ」と題し、ガーデンデザイナーとよだみき氏に講演をいただきました。とよだ氏には、ガーデニングブームの問題点や、庭の設計プロセスについて300名の聴衆を前にわかりやすくお話しいただきました。

氏は、慶應義塾大学経済学部を卒業後カルフォルニア州立大学ロングビーチ校に留学、アプライドアートを専攻、アメリカの企業でマーケティングコンサルティング業務に従事され、1990年ガーデンデザイナーとして活動を開始されました。1993年には有限会社バウムスタンフを、1997年には有限会社オフィストヨダを設立され、代表取締役に就任されております。また、講談社から「ガーデンデザインの本」・「スモールガーデンの本」などの著書も出版されておられます。

 

 

 

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