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◎椎葉村のモリ◎

 

椎葉村の仲塔(なかとう)地区では、やはり神楽の日に御幣を彫り「モリ」が祀られる。

一九九二年十二月五日、仲塔の人たちは、現在の国道沿いの集落よりも、随分と山手にあたる北野天神社へ、軽トラック数台に太鼓など神楽の道具を積み込んで移動する。急な坂道を登り境内に着くと、神社よりも大きな薬師堂があり、そこを包んでいる森に、すぐさま「モリ」の御幣が全員(このとき八名。モリを祀るのも八カ所)で祀られる。このことを仲塔では「モノマキ」といっている。

まず、古老の指示により小さなカシの木を組んで、片屋根の茅葺きの小屋を作る。これを「ミヤシロ」と称している。そこに神楽宿で彫った御幣「大モリ」「小モリ」「ハチオウジ」の三本の幣がたてられ、ユズリハの葉を器にして御飯を供える。「ミヤシロ」は一つだけで、その周辺の八カ所にはそれぞれ「大モリ」「小モリ」の幣が一組になって地面にさされ祀られる。仲塔は昔から十七戸の集落で現在でも変わらないという。「モリマキ」がすむと北野天神社で式三番の神楽が舞われ、その後、神楽宿に神をお連れすることになり朝まで神楽宿で神楽が舞われる。さて、この境内には随所に地主神のような石が沢山納められてある。詳しいことは土地の人たちにも解らないが、なんらかの都合でここに合祀されたようだと言われる。

 

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「モリマキ」をする仲塔の人たち

 

 

 

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