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この場所はコミュニティ型の施設ですので、常時誰かが集まってきて、お茶を飲んだり、話をしたり、芸能を楽しんだりとかなり、たまり場的機能が入ってくるのではないでしょうか。地元の方でどう考え運営していくか、ソフトを考えていかなければいけません。理念と利用のしかたのソフトと同時にもう一つのソフトは経営のソフトです。維持管理について経費が必要になります。どれだけ合理的な経営をするのか、誰が経費を負担するのか、管理するのかという経営ソフトも同時に考えておく必要があります。

ハード面では、大きな建物ですので今後雨漏りなどしないで維持できるかどうかしっかりとした点検が必要になります。耐震に対する構造的な強さのチェック、設備関係の検討、防災面の検討も必要になります。多目的な利用になりますと分割して使う、全面使う、部分だけ昼間使う、夜間使うと複雑な利用のプログラムになりますので、使い方の技術も必要になります。

ハードの2つめは景観です。この地域は潜在的にすぐれた農家集落の景観をもっています。海岸線と山地の間の中間的な丘陵の地形ですので、山並みも見え、場所的にいっても町の緑道が集まるような所です。人々が歩いてとか、自転車などで集まってこれるようなネットワークが大切です。ここにいて町の景観をみているだけでも心がなごむようなコーナーがあればと思います。

そういったことをどう実現していくかという見通しをつけることが、この調査の後半の課題と思います。これからは、洲本の保存活用の事例視察では我々は何をどう見たかを視察のビデオも見ながらおさらいしたいと思います。(洲本の視察ビデオを上映)

 

(3) 旧中林綿布工場の保存活用にむけて

休憩をはさんで、パネルディスカッションと旗上げアンケートを行った。休憩中に参加者全員に赤・青・黄の3本の旗を配り、それを手に旧中林綿布工場の保存活用を考える。

 

旗上げによって今日参加されている方の属性を聞く。まずお住まいは旧中林綿布工場の近くの人が10名、それ以外の熊取町の人21名、町外の人16名である。世代は30歳までが5名、31〜50歳が20名、51歳以上が21名である。旧中林綿布工場の認識についてアンケートをすると、外観は知っているが3名で、あとの方は皆工場内まで見たことがあるの旗を上げられた。次にワークショップについて、今までのワークショップに参加した方が35名、参加はしていないがワークショップは知っているが10名、知らない方はおられなかった。これは町の広報などで広く呼びかけてきたからだともいえる。つぎに調査の中間報告として建築計画、建築構造について報告いただく。

 

○建築計画について(山野俊一先生)

建築技術から見てノコギリ屋根というのは西洋で発展してきたもので、それを日本の大工が受け継ぎ、独自の技術で実にリズミカルにつくっています。保存状態については、屋根瓦が風化して雨漏りし天井板が腐敗している。棟瓦ではなくセメントで固めているのは台風の影響を考えてのことではないか。ノコギリ屋根の北窓の採光は内部にマイルドな光をもたらしています。

 

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パネルディスカッション

 

 

 

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