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第1章 現地をみる

 

1-1 ワークショップ1]「現地を見る」

 

(1) ワークショップの概要

くまとり煉瓦工場調査団・第1回ワークショップが開催された。夏空の7月25日土曜日、午後1時半から中家で開催されたワークショップには50名の参加があり、熱心な調査・討議が行われた。ワークショップのテーマは「現地を見る」である。煉瓦工場とその周辺をしっかり見て、感じたことなどを討論する。開催のあいさつの後はさっそくグループに分かれてワークショップにはいった。グループには現地を見る視点が設定されており、「暮らしの目から見る」「歴史の目から見る」「訪れる人の目から見る」の3つに分かれた。それぞれのテーマのアドバイザーとして、「暮らしの目」は西澤英和先生、「歴史の目」は林茂生さん、「訪れる人の目」は事務局の岡田が担当した。

グループではまず、テーマの確認と歩くルートの設定を行った。そしてグループのリーダーを決め、まち歩き、工場を見に行く。暑い夏の日差しにも関わらず、どのグループも時間いっぱいまち歩きをする。戻ってきてからグループ討議を行った。ワークショップ調査の一番の特徴は参加者が皆自分の意見を出し、またグループの調査結果をすぐに目に見えるようにすることだ。各自小さなメモに意見を書いたり、大きな用紙にメモをまとめていったりした。そして各グループのまとめを全体に発表したが、皆さん他のグループのまとめにも熱心に耳を傾けられていた。次に各グループの調査の様子、討議結果をまとめる。

 

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まち歩きの様子

 

(2) 暮らしの目から見る(1班のまとめ)

メンバー:中西定義・玉野哲雄・腕野亮治・田畑洋・福永截彌・代谷誠治・代谷知子・大野孝一・小橋善男・稲葉孝一・正田周子・森崎シヅ子・村田明人

アドバイザー:西澤英和

進行:住田尚美

 

1] キーワードの確認

1班のテーマは「暮らしの目から見る」である。まず、「暮らしの目」のキーワードは何であろうか考える。中林綿布工場が現役の頃の人々の暮らし、煉瓦工場として残る今と暮らしとの関わりはどうか。人々の暮らしは地域の成り立ちの歴史的な背景と大きく関わっている。隣接する中家の存在が地域の成り立ちに大きく関わってきた。また、中林綿布工場は地域の発展に重要な役割を担ってきた。例えば、工場には遠く四国など地方から多くの女工さんが働きに来られ、また結婚して熊取に定住した方も多いという。暮らしの目といってもやはりこの地域の歴史的背景が重要なキーワードとなる。

地図を見ながら話を進める。紡績、綿布で栄えてきた泉州地域であり、熊取も綿織物で生きてきた町だ。中家の北東に中林綿布工場が位置しているが、南西には熊取織物(後に大屋紡績となる)があった。そこには煉瓦の煙突が残る。お寺は五門の集落に慈照寺、紺屋の集落に芳元寺がある。慈照寺は中家の菩提寺である。お寺と煙突、タオル工場などをまわって、中林工場へとルートを設定してまち歩きに出発した。

 

2] まち歩き開始

まず、中家からまっすぐに慈照寺へ向かう。慈照寺は丘の上にあり、かつてはその下までが中家屋敷であった。細い道が昔の本通りである。

 

 

 

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