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4) 観光客の感想

大野市の報告によると、平成10年度に大野を訪れた観光客は延べ80万人で、やや減少ぎみであるが、大野城や旧武家屋敷内山家住宅などを含めた市街地の観光には41万6千人余が訪れ、前年に比べて5.3パーセント(12,000人)増加しているという。これら観光客たちが大野の町に対してどのような感想、印象をもっているのだろうか。七間本陣に置かれている「感想ノート」から探ってみよう。平成10年8月から11年2月まで、約7ヵ月間に書かれた記述を順に整理してまとめてみた。全部で143件みられた。このようなノートに書こうとするのは気分が良い場合が多いはずで、これをそのまま鵜呑みにすることはできないが、ほとんどが大野に対して良い印象をもっていることがわかる。

まず、地域的には地元大野や福井・武生・敦賀などの福井県内はもちろんであるが、京都や大阪などの関西地区、愛知県の名古屋や一宮、関東の東京・千葉・神奈川・茨城など、中には仙台さらには北海道や博多の人もみられ、全国各地に及んでいる。そして「大野は静かな、落ち着いた町」、「きれいな町」といった感想が多い。無料の休憩所の存在を喜び、感謝している意見もたくさんみられる。ソバや水、まんじゅうなどの食物がおいしいこと、さらに空気がおいしいとの感想もある。水はともかく空気のおいしさまでは大野に住むひとはあまり気付かないのではないだろうか。そして感想の末尾に「また来ます」とか「また来たい」と添えられている場合が多いことにも気付く。

このように大野を訪れた人、少なくてもこのノー卜に書いた人のほとんどは、大野に対して好印象を抱いたことは間違いない。町の雰囲気に、大野の人の心配りに、そしておいしい食べ物に。大野が小京都にこだわる必要はない。本場京都からきた女性は「京都よりも京都らしい」といっているくらいだから。「大野は大野」である。この感想ノートからも大野に住む人は大野に対してもっと誇らしく、自慢してよいのではないだろうか。自分の住む町、住む場所に対して自信をもつこと、愛着をもつことが町づくりの第一歩であるのだから。

なお、仙台の男性の「障害者用の誘導ブロックがない」や「大野城にトイレがない」などという指摘には、耳を傾け、早急に善後策を考えるべきであろう。

 

 

 

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