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内部柱に貫穴等の痕跡があり、何度か改造されていることがわかる。東棟は切妻造2階建鉄板葺で、桁行4間、梁間3間の南.東側に下屋の付いた建物で、短い渡り廊下で西棟とつながる。1階は8畳座敷、6畳次の間、6畳・4畳の物置があり、2階は中央に棟持柱がたつ物置となる。東西両棟から武家住宅の様子を知るには解体などの詳しい調査が必要となる。

(3) 旧内山家住宅

当家は城町10-7にあり、現在武家屋敷として公開されている。旧内山家は幕末期に大野藩政再建に尽力した内山七郎右衛門良休(家老)と弟の隆佐良隆の偉業を偲ぶため、大野市が内山家より譲り受け、解体復元整備したものである。広い敷地は西側を道路、東側を背割り排水で区切られ、主屋を道路側にとり、渡り廊下で東の離れにつづく。敷地南西の道路際に、味噌蔵、米蔵、衣装蔵の土蔵3棟が建てられる。主屋は明治15年頃の建設で、梁間4間桁行7間の平入2階建瓦葺で、当初は板葺であった。1階は座敷・仏間・式台・次の間・6畳間・玄関・台所等からなり、床、床脇を備えた座敷は床柱を正角とし、長押を廻した端正な構えである。一方、2階は段差のついた10畳座敷2室・2畳間・物置等で構成され、座敷2室は棟通りより緩やかな弧を描く竿縁天井の数寄屋風座敷で、華やいだ感じとなり、1階座敷と対比をなしている。離れの建物は大正期に建てられたもので、切妻平屋建て瓦葺の数寄屋風書院である。

(4) 柳廼社社務所

この建物は城町2-13にあり、大野城の麓にある大野藩主代7代土井利忠を祀る柳廼社の社務所である。この社務所は明治34年(1901)土井利忠の隠居所を、福井中学大野分校建設のため、現在地に移されたものという。建物は梁間4間桁行8間の周囲に下屋を張り出した、2階建の平入切妻瓦葺である。北面入口の式台と玄関の配置は藩主隠居所としての面影をのこしている。

 

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九 浅山巌家住宅 浅山巌所有 江戸時代

 

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柳廼社社務所 柳廼社所有 江戸時代

 

 

 

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