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5) 調査した土蔵

(1) 稲津家土蔵

稲津義久家は七間通りに北面し、一番通りと二番通りの間の背割り排水路の東側にある。

土蔵は屋敷の南西隅にあり、1間半幅の渡り廊下により主屋と接続する。土蔵は切妻平八の瓦葺で、規模は梁間3間・桁行4間の2階建である。間取は正面中央右側に1間の片引き戸をとり、右2間を板の間、左2間を座敷8畳・床・押入とし、2階は1室の物置となる。座敷8畳は竿縁天井、板の間は根太天井、2階は化粧屋根裏天井とする。小屋組は合掌を地棟でうける単純な形式で、座敷・板の間境中央に7寸前後の中柱をおく。外部仕上は軒廻り壁を白壁、その下部を下見板張りとし、板軒の上に5寸勾配の瓦を葺く。厚さ2cmの板軒は「ベアズイ」付きの桁で支えられる。建築年代は地棟銘により昭和10年4月で、現当主の父の久左衛(栄)門が建てた。

(2) 布川博雄家土蔵

布川博雄家は七間通りに南面し、一番通りと二番通りの間の背割り排水路の西側にある。土蔵は主屋と庭を挟んで屋敷の北側にある。以前にはこの土蔵東側に2棟の蔵が建っていたが、近年撤去された。土蔵は切妻妻入の3.5寸勾配の瓦葺で、規模は梁間3間・桁行7間の2階建で、棟を南北にもつ。1階は南側に戸口と窓を、北側に戸口を開き、2階は南北両面に2個の窓を開く。内部は1階が土壁の根太天井、2階が板張りの化粧屋根裏天井となり、1・2階ともに床は板張りで物置となる。階段の1・2階境には横引き戸が設けられている。1階床は元土間であったとみられ、壁際に笏谷石の基礎石や地覆石がみえる。

 

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