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7) 大野の町家の表構え

(1) 全体的傾向

伝統的な形式をもつ町家は265棟であった。これらのすべての町家を対象とする。2次調査は、その中から51棟を選び、表構えについて詳細な建築調査を行なった。表構えの要素は、屋根形式、間口の大きさ、軒形式、2階壁面、下屋は正面の庇の葺材や形式、1階の格子や出入口などである。

▽1次調査による265棟についてみると、屋根葺材は、土瓦とセメント瓦葺き、鉄板葺きがみられた。土瓦葺きが179棟で最も多く、全体の約70%を占めている。

間口の大きさは、最小1.5間、最大10.5間であった。3間、4間、5間、の例が多く、3間は62棟、4間が60棟、5間は39棟であった。これらの3間〜5間の合計は、全体の約60%に相当する155棟である。

軒形式は、腕木、登梁、垂木、出梁、板軒などがある。腕木形式が最も多く、265棟のうち183棟であった。次いで、登梁形式が68棟、垂木形式は10棟であった。腕木形式は、間口が3間〜5間の町家にみられ138棟あり、75%を占めている。登梁形式は、3間〜5間に集中し、間口が6間〜10.5間の町家にもみられた。

1階に格子をもつ町家は、265棟のうち52棟で少なかった。格子の形式は、平格子と出格子がある。平格子が21棟あり、出格子は10棟であった。

▽次に詳細な調査を行なった51棟についてみる。

調査したほとんどの町家で、2階壁面の両端に袖壁がみられた。例外は袖壁の代わりに、金具の繰形を持つ1棟だけであった(谷川家)。2階壁面は、真壁と大壁がある。真壁が多く、51棟のうち50棟が真壁で、大壁の例は1棟だけであった。壁の種類は、白や黒の漆喰壁が多く、その上に鉄板や板が張られている例もある。白漆喰壁は40棟と最も多く、黒漆喰は間口が5間〜8.5間の町家6棟のうち5棟にみられた。漆喰仕上げでない土壁のままの例は、2棟だけであった。

 

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間口と軒形式

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