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5) 二階座敷について

対象とする町家は2階平面を調査できた27棟である。座敷とみなす要素として畳、床、棚を取り上げ、これらの要素を一つでも含むものを座敷とみなした。27棟の町家は二階の座敷の取り方によって図-1に示すように、大きく3つの形態に分けられる。

 

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A型は一般に総二階と呼ばれ、二階全体に座敷がある例である。全体で4棟あり、間口と奥行の規模がほぼ等しい、正方形に近い平面をもつ町家に多い。

B型は一列型で、片側に座敷があり、片側は板敷の物置になる例である。全体で9棟あり、間口が狭く、奥行きが大きい町家に多い。

C型は二階座敷がなく、全体が板敷の物置になっている。全部で14棟あり、一階に店舗を設けている町家に多くみられる。

大野の町家は、昔は二階を物置として使用する「厨子二階」が多かった。しかし、時代が下がるにつれて二階に座敷をつくる町家が増えたとみられる。したがって、これら3つの形式はC型・B型・A型の順に展開していったと考えられる。(図-1 二階座敷の形態)27棟のうちA型・B型に含まれるもの、つまり二階座敷があるものは14棟であり、C型の座敷がないものは13棟である。図-2からわかるように、二階座敷がある町家の二階階高は、1.6m〜2.0mで、二階座敷がない町家は1.3m〜1.8mであり、二階座敷をもつ家の方が高い傾向にある。(図-2 二階表側の柱高と二階座敷の関係)

 

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大野の伝統的な町家は、小屋組に登梁を用いているものがほとんどである。そのために二階の柱高が低い場合は、高い水平な天井を張ることができず、図-3のように弓形の天井を設けている例が多い。しかし、二階の柱を高くして登梁を受けている場合は、高くて平らな天井を張ることができ、整った二階座敷をもっている。

 

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