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この結果、もっとも古い主屋は江戸時代後期の建築と推定された。ただ多くは明治以降の建築であり、本屋が昭和戦前のものは111棟あった。なお、本屋を取壊し中門部分のみが残っているものも若干ある。

建築年代の分布は集落によって異なるが、中仙田、赤谷、などでは昭和戦後のものが多い。過疎がとくに著しい集落は昭和戦前の家が多いという傾向がある。

 

3 社寺の調査

仙田のどの集落にも村の鎮守である神社(産土神・主護神)がある。寺院は室島に曹洞宗相国寺一か寺があるのみである。しかし、住職はなく村人によって営まれている。「お堂」は室島、中仙田、小脇、高倉、大倉、大白倉、田戸、藤沢、越が沢にあった。大白倉ではお堂を廃してその本尊を集落センターに移して祀ってある。

村の鎮守

各集落に鎮守様は必ずあり、室島に3社、中仙田・大倉に2社あって、神社は全体で16社ある。その祭神の内訳は、十二社が8社、諏訪・熊野・八幡・松苧・渋海・天狗が各1社ずつあり、部落の地名による新浮海川本・高倉の2社がある。山の神である大山祇命を祀る十二社は、川西町全体で11社であるうち、山間部の仙田地区に11社が集中している。中仙田の諏訪社に「享保二年丁酉六月二十七日中吉蔵謹書」の印刻のある石像神像が安置されていて、年代が明確なものとしては最も古い。

神社境内の石碑

神社境内には、民間信仰に基づく数多くの石碑が立てられている。三十三夜塔(7)、金毘羅大権現(4)、庚申塔(3)、秋葉山(3)、湯殿山(2)、金山彦命(以下各1)、米山薬師、薬師如来、仏如来像、日本回国供養塔、道祖神、石碑などがある。いずれの近世以降のものである。このうち赤谷十二神社の日本回国供養塔は安永七年(1778)の刻銘があり、このころすでに民間において霊場巡礼がおこなわれていたことを示している。

村のお堂

小脇、高倉、室島、中仙田、藤沢、田戸、越が沢、大倉、大白倉にお堂がある。全部で15室ある。川西町全体では22字であるから仙田地区に多いことがわかる。本尊は、地蔵4、薬師4、阿弥陀3、観音2、不動1、である。なお、仙田地区には相国寺一か寺、当町橘地区には現在寺院が一か寺もないのにお堂の数は多い。一般民衆の仏教信仰が広くいきわたっていたことがわかる。

 

仙田地区各集落の神社

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abcdは、明治十六年(1883)「新潟県神社寺院仏堂明細帳」による

 

 

 

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