日本財団 図書館


川西町の気候についてみると、1997年の平均気温は摂氏11.6度、最高36.2度.最低-7.5度、年間降水量は2,489mm、降雪量最大値52cm(1月27日)、最高積雪深206cm(1月27日)、累計積雪量783cmであり、雪は比較的少ない年であった5)。降水は夏に少なく冬に多い典型的な日本海側気候に属する。信濃川の中流域のこの地は、世界有数の豪雪地帯であり、川西町のうちでも山間地の仙田地区はとりわけ雪が多く、積雪深は毎年2メートルから5メートルにも達する。

4)『川西町史』(通史編上巻、4頁)

5)「川西町町勢要覧-平成10版」

 

交 通

町内を鉄道は通っていない。しかし、JR東日本飯山線および1997年に開通した北越鉄道株式会社「ほくほく線」十日町駅からほど近く、信濃川を十日町大橋または妻有大橋を渡ると、駅から町役場まで3キロメートル程の距離にある。たとえば上越新幹線東京発7:48にのると越後湯沢着9:05、ここで「ほくほく線」9:14の金沢行「特急はくたか」に乗換え十日町着9:41、十日町で「じょんのび村」ゆきバス9:47に乗り川西町役場着10:00。東京から2時間12分となる。また、自動車では高速道路関越自動車道の越後川口インターチェンジから国道117号線を経由して20分、六日町インターチェンジから国道253号線を通り十日町経由で30分程で着く。

町内を通る基幹道路が3路線ある。主要地方道小千谷十日町津南線は信濃川の河岸段丘上を南北に通り、町内東半部の町や集落を結ぶ。町西半部の仙田地区は、国道403号線が同じく南北に通り、長岡、越路、小国からほぼ渋海川に沿い仙田の各集落を通って松代に通じる。南北に通るこの二本の基幹道路を東西に結ぶ国道252号線がある。この道路は柏崎方面から仙田の赤谷、中仙田を通り、上野で小千谷十日町津南線と交差し、信濃川にかかる栄橋を渡って国道117号線に達する。幹線道路が15路線ある。一般県道小千谷大沢線は小白倉を通る。一般県道小白倉木落線(観光道路)は小白倉の東で一般県道小千谷大沢線から分岐して尾根を通って東に向かい橘で小千谷十日町津南線に達しさらに木落に至たる。また主要地方道十日町川西線は室島で国道403号線から分岐し高倉を経由して十日町に通じる。主要地方道十日町千手線は千手で主要地方道小千谷十日町津南線から分かれ妻有大橋を通り十日町に至り国道117号線に取りつく。このほか幹線道路として11の町道があって町内の集落を結んでいる。

この地の豪雪は交通機関にも大きな影響を及ぼしている。交通路の整備と除雪機械設備は、かつて豪雪時には陸の孤島と化した仙田地区を雪から一部を解放した。

 

仙田村6)

われわれが調査対象としている仙田地区は1889年(明治22年)の市町村制の施行によって新生仙田村として誕生する。ただ、江戸時代から仙田村はつぎにあげる15の村々の連合体として一村を構成していた。その村々は渋海川の上流から桐山、小脇、高倉、霧谷、藤沢、室島、田戸、越が沢、中仙田、赤谷、岩瀬、大倉、大白倉、小白倉、大貝の15の村々である。このうち現在、大貝は1952年に分村して小国村に属し、桐山は1967年に分町して松代町に属するなど出入りはあるが、現在、13の集落が川西町に属している。ただし、主要道路や渋海川沿いから離れて山中に立地する、霧谷は1972年、藤沢は1984年、越が沢は1985年に閉村になった。住民みなが挙家転出してしまったのである。その結果、現在仙田地区で人家がある集落は10である。

6)「川西町史」通史編下637頁

 

渋海川と瀬違い

渋海川は近世以来の古い姿を今に残す魅力ある川である。この流域には瀬違い7)と呼び旧河川を新田開発した耕地が多くある。渋海川は、長野県堺の松之山町に源をもち、松代町の山中を通り川西町にいたり、深い谷を刻み蛇行しながら南から北へ流れ、小国町、越路町を通り長岡市で信濃川にそそぐ。信濃川の支流のうち新潟県内ではもっとも長い河川である。

渋海川はの中流域にあたる仙田地区には、渋海川は著しく曲折蛇行して流れている箇所が多くある。江戸時代以降この蛇行部分の根もとの山を掘割りすることによって川の流れをショートカットして流路を替え、蛇行部分を水田など耕地として開発した。これを瀬違い(瀬替え)という。瀬替えは現在、小脇(小脇)、柳島(小脇・室島)、室島、外の島(室島)、美渕(室島)、上の島(中仙田)、中の島(中仙田)、中仙田、長瀬(中仙田)、童子が島(赤谷)、枇杷島(岩瀬)、岩瀬、わらび島(刈羽・岩瀬)、枇杷島(小白倉)の14ヵ所にある。瀬替えの工事は江戸時代中期から昭和期にわたっておこなわれた。室島・岩瀬の2ヵ所は地滑りによる流路変更であるといわれる。赤谷・岩瀬・小白倉・中仙田の4ヵ所は明治以降の開削工事によっている。瀬替えはこのほか松代町、小国町にもある。

瀬替えの多くは水田などの耕地になっている。ただ、小脇の集落は瀬替えの上に立地している。

7)瀬替え-「川西町史」通史編下156頁

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION