日本財団 図書館


2.3 周期分析結果

 

太平洋および大西洋における各海域の海面水温について、いかなる周期の変動が卓越しているのか調査するため、周波数スペクトル解析を行った。具体的には前項で解析した海域のうち、1900年〜1995年において比較的連続したデータが存在する海域について調査した。図2.16〜図2.17にその結果を掲載する。図の横軸は周波数(/年)であり、縦軸はパワースペクトル値である。図中には1年より長い周期について、特に顕著なピークをもつ周期(年)を抽出して示した。それを各海域毎に整理したものが表2.8である。

 

表2.8 各海域における海面水温の長期変動の卓越周期

053-1.gif

*表中の数値は図2.16〜図2.17におけるパワースペクトル値の高い順に上位二つのピークの周期を示す。「-」はデータが連続して存在しない海域。

 

表中の数値はパワースペクトル値の高い順に上位二つのピークの周期を選択して掲載している。データの期間が100年に満たないので20年以上のピークについては除外した。なお、「-」はデータが連続して存在しない海域である。

太平洋東部ではいわゆるENSO(エルニーニョ/南方振動)に相当する3〜6年周期の変動が卓越しているが、その他の海域では10年前後の長い周期の変動が卓越していることが分かる。近年、ENSO現象の次に長いスケールを持つ現象として、約10年/数10年スケールの変動が注目をあつめており(花輪、1997)、多くの研究者により調査が進められている。ここで示した太平洋東部以外の海域での周波数スペクトル解析の結果は、約10年スケールの変動を表しているのではないかと考えられる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION