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3) 事業者から見た課題と今後の展開方向

三岐鉄道の駅勢圏は、駅の駐車場、駐輪場の整備により、拡大はしているものの、数百人から数千人規模であり、その域内の鉄道利用者数は限られている。従って、最初は物珍しさからサイクルパスを利用してどこかへ出かけてみても、よほどのことがない限り、同じところへ何度も出かけることはなく、利用者数に大きな伸びは期待できない。

三岐鉄道としてはこのような状況の中で、新しい目的地の開発や新たなサイクリングコースの紹介、サイクリング大会の実施等の取り組みを実施してきているが、今後、自転車持ち込み利用を増加させるためには通勤通学等既存の交通需要を如何に鉄道にシフトさせるかが重要であると認識している。

 

以上の問題点を踏まえ今後は以下に示す方向での展開を三岐鉄道は考えている。

 

・運行拡大の可能性

<県立員弁高等学校へのサイクルパス通学>

運行区間を西藤原〜北勢中央公園に限定すれば、平成13年4月開校予定(移転新築)の県立員弁高校へのサイクルパス通学が考えられる。

ただし、自治体による自転車専用道路・橋の整備が必要。

 

・近鉄富田駅へのサイクルパス拡大

旅客始発駅で大手私鉄との接続駅である「近鉄富田駅」を、サイクルパスの対象駅にするよう改造したい。ただし、通路拡幅・踏切自動化・安全柵設置等に費用が必要(国・自治体等の支援)と考えている。

 

・PR活動の一貫としてサイクルパス利用者の運賃無料化

1年間の期間限定でサイクルパス利用者の運賃を無料にすることで利用客の反響を見たい。ただし、このサービスの鉄道負担分については国、自治体等の支援が必要と考えている。

 

なお、モデル事業の反響については、次のように考えている。

 

・利用者の反応(一般客へのPR)

利用者の反応は従来と変化なし。ポスターとアンケート調査だけではインパクトに欠ける。

 

・沿線自治体の協力状況(公共交通の利用促進)

三岐鉄道では、パーク&ライドやサイクル&ライドも含め、都市近郊の地方鉄道を、都市部に集中する自動車交通の受け皿として維持整備することに対する理解と協力を関係の行政機関に求めており、モデル事業が県・市町に対する三岐鉄道の説得力になっている。

 

 

 

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