日本財団 図書館


3. システム実現化に向けた課題

 

これまでの検討で、「現状の問題点の解消」、「松山港地域としての魅力度向上」という観点から松山港地域における物流機能拡充のあり方について検討を行った。この検討過程において、民間企業の経済原則だけに依存した取り組み、個別地区単位での取り組みだけでは実現困難なテーマがあると考えられる。

また、これら機能拡充に向けた取り組みをアクションプランに基づき具体化する段階で、新たな問題点等が顕在化する可能性もあり、計画策定後もその実行状況をモニタリングする体制を構築する必要がある。

 

1]民間企業の経済原則の範疇での対応が難しい

→競争社会に存在する民間企業の自助努力を支援する取り組みが必要

→環境負荷軽減等の社会問題への対応には社会的規制(政策的な誘導)も必要

・地域における物流効率化の実現には、現状の物流体系を再編するインパクトを持った物流システムの構築、サービスの提供に向けた取り組みが必要となる。

・現状の物流体系は、民間企業がインフラとして整備された物流機能等を活用し、民間事業として維持できる範囲の中でのサービス水準が具体化されたものである。

・したがって、現状の物流体系の再編を起こしうる物流システムを実現し、将来に亘って維持継続するのは、民間企業の自助努力だけでは越えることのできない課題が残るものと考えられる。

・また、地域の物流効率化を通じた環境負荷軽減等の社会問題に対しても、現状の物流事業環境下において民間企業の経済原則に基づく取り組みだけで対応するのは実質的に難しいと考えられる。

2]個別地区単位の取り組みでの対応には限界がある

→地区毎の問題意識、取り組みを全国的に波及させる仕組みが必要

→地域の取り組みをフォローアップする体制、仕組みが必要

・物流はネットワーク事業であり、地区単位の機能拡充だけでは十分な効果が期待できない分野、または地区単位では機能拡充自体を図ることが困難な分野が存在する。

・また、今後、全国各地において地域物流マネジメント計画を各地域が主体的に策定し、遂行していくことになる(松山地区以外に、北九州地区、広島地区、四日市地区でも同様の取り組みが進められている)。これらの地域の取り組みを、「計画づくり」だけに終わらせずに、確実に計画を遂行し、地域における物流効率化を具体化させるためには、運輸省等の関係省庁、計画策定地域が参加した関係者協議会等の連絡協議体制を構築し、計画遂行状況のモニタリング(チェック)、計画遂行過程における問題点の有無確認と解決方法の検討等を継続的に行う必要があると考えられる(規制緩和推進計画は、毎年、計画の進行状況をチェックしていることが、計画推進に役立っている)。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION