(2) ISO14000シリーズ導入によるメリット
1] 企業の国際競争力向上
企業にとってISO14001認証取得の必要性は、近年ますます高まっている。特にグローバル企業は国際的な信用を保ち、国際競争力を維持することが求められている。
■企業格付けへの影響
格付けはその企業の信用力・健全度・将来性を評価しランク付けするもので、本来は投資の判断材料のひとつに過ぎなかったが、企業の通知簿をつけるような側面があって近年影響力が強まっている。実際、最近の金融機関の経営破綻は、格付機関に格付けを落とされ、信用を失って資金繰りが悪化したことも一因とみられている。
この格付けは環境問題も無縁ではない。欧米では環境への取り組みに不熱心な企業は格付けを落とされる。このため、企業がISO14001の認証を取得したり、環境対策の成果を情報公開したりすることが企業格付けに良い影響を与えることは十分に考えられる。
■保険への影響
1998年7月10日から住友海上火災保険は国内業界では初めて、ISO14000等に対応した企業に対して保険料を最大で3割割り引く賠償責任保険を始めた。
スイス銀行(現UBS)ではISO14001認証取得が融資の判断基準に入っており、環境への取り組みが不十分な企業は資金繰りに困窮する事態になりかねない。また、UBSは、環境で企業を格付けする投資信託「エコファンド」の販売を始めている。
■WTOの協定
特に、貿易関連企業に関連深いこととしては、WTOのTBT協定(貿易の技術的障害に関する協定)に、「国際貿易に対して障害をもたらすことを目的として、又はこれらをもたらす結果となるように、立案され又は適用されることのないようにすること。」「適合性評価を行う機関の十分なかつ永続的な技術的能力が必要である。このためには、国際標準化機関の制定した国際的ガイド又は勧告を遵守していることを確認すること。」といった条文があり、国際的な標準(規格)があるときは、それに従うことがうたわれている。