日本財団 図書館


第3章 研究の成果(津波予測計算結果及び検討)

 

3.1 検定津波

 

3.1.1 200m等深線における計算波高と陸岸津波高の比較

 

沿岸一帯でのモデルの再現性を検討するために、海岸沿いの200m等深線上にとった点での第1波の波高と海岸での津波高の比を算出した。200m等水深線上での津波計算波高出力点を図3-1-1、3-1-2に、実測津波高(■)と200m等水深線上での津波計算波高(◆)及び両者の比(○)を図3-1-3、3-1-4に示す。ここで、図中の津波高は各津波計算波高出力点に対向する海岸区間での津波高を平均したものを用いている。

両者の比をみると、海岸での津波高は計算津波高の概ね2〜3倍の範囲にあるが、昭和東南海地震津波での三重県沿岸のように、海岸が複雑に入り組んだような地形では、両者の比率が高くなる地域が見られ、地形による津波高の増幅が示唆された。また、昭和南海道地震津波では、室戸岬近辺で両者の比率が小さくなっている。これら結果は他の研究事例(相田1979,相田1981)とほぼ一致しており、モデルの妥当性を示している。また、昭和南海道地震津波では2つの震源モデルを用いているが、地盤変動量から求めた震源モデル(Kato1983モデル)では、四国西岸一帯での計算津波波高が過小に計算されており、同一の地震でも、震源モデルの違いによって計算結果に差異が生じることがわかる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION