日本財団 図書館


2.2 シミュレーションプログラムの概要

ここで用いたシミュレーションモデルは平成9年度事業で作成されたものだが、その概要を以下に述べる。

 

2.2.1 数値計算手法

 

津波の計算は、1]地震による地殻変動に伴う津波の発生、2]震源域から沿岸までの伝播、3]港湾域で摩擦減衰、波形変形、浸水、遡上、の3過程に分けて考えることができる。1]については、地震学の分野で提唱された断層モデルを波源モデルとして適用する。単純な形の断層のずれによって海底面がどのように変位するかは、弾性論によって求めることができ、種々の断層パラメータを与えることにより海底の鉛直変位が計算される。この変位がある変動時間で生じたものとして、数値実験を開始する。

2]については津波が浅水理論(水深に対して波長が充分長いという仮定に基づいた理論)に従って運動するものとする。ただし、外洋部では運動方程式中の移流項、摩擦項を省略した線型近似した線型長波式を用いる。支配方程式を差分化し、これを細かい時間間隔で解くことによって適当な格子間隔で水位と流速が計算される。格子は計算機容量、計算時間の節約をするために外洋部では荒い格子間隔、沿岸部に近づくにつれて細かい格子間隔をとる多重格子を用い、格子間で計算結果を引き継いで行く。

3]についても浅水理論が基礎となるが、運動方程式中に移流項、摩擦項を込め、さらに汀線が水位の昇降に伴って移動することを考慮する。

 

2.2.2 基本方程式

 

鉛直方向の積分流量M,Nを以下の様に定義する。

 

007-1.gif

 

この積分流量M,Nを用い、断層による地盤変動を考慮し、非回転、長波近似、非粘性を考慮すると基本方程式は次式のような方程式として表される。

 

007-2.gif

 

007-3.gif

である。なお、各変数の定義は図2-3-1、図2-2-2のようになる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION