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公海の自由航行プロジェクト提出論文

 

東アジアおけるシーレーンの安定

 

Seo-Hang Lee

(韓国外交国防研究所教授)

 

I はじめに

 

世界の相互依存が増大するにつれ、重要な点で海に面した国が本質的な貿易を行うのに海に依存しないという事は想像しがたい。海がそれらの国々にとって不可欠な重要性を持っているという考えは多くの学者や作家によって声高に説明されてきた。例えば、ジョンムーア、海軍と海事力の関連した戦略について高く評価されている分析家は、かつて何世紀もの間、世界の国の大多数はその存在の為、海を通る商品の自由通行に依存してきたと書いた。

地域的レベルでは、巨大な海事地域をとりまく東アジアも例外ではない。過去、数年に渡って東アジア地域は世界で最も高い経済成長率を記録し、その成長の基本的特徴の一つは、大部分が海上輸送貿易によるものである。

東アジアは海上輸送貿易における大きな依存は、その地域内のみならず世界の他の場所への船による輸出の爆発につながった。ほとんど全ての東アジア諸国は極めて重大にシーレーン防衛に依存し平和時と戦争時両方における商業輸送の防衛はその地域のどの国も無視できない仕事である。冷戦終了とソビエト連邦の崩壊はシーレーン防衛に対する脅威を減らしたか変えたが、アメリカ軍の削減はシーレーン能力又は、主たる防衛者を減少させるだけでなく困難な戦略的不確実性を生み出す傾向にあった。そのような戦略的光景は、海上防衛に重要な影響を持ち、その地域の国々にシーレーン防衛のため責任を分担させる。そこで、以下、東アジアにおけるシーレーン防衛に対する主要な脅威の源と、シーレーン防衛を強化するための方策について考えてみたい。

 

II 東アジアにおけるシーレーン防衛の最重要性

 

東アジアの海洋環境における重要性を上げている最も強力な要因は、恐らく、その地域の経済の急速な成長である。多くのデーターにあるように、東アジアは過去20年間に渡り驚くべき経済的成功を為し遂げた。特に、1980年代以来、世界の全ての地域中で、最も速い成長率を記録した。アジアで新しく産業化された経済(ANIEs)つまり韓国、台湾、香港、シンガポールは、輸出主導の発展政策に大きく依存しながら、1970年代以来、急速な成長を続けてきた。東アジアの新しい発展途上国、例えばタイ、マレーシア、インドネシア、中国又日本とANIEsの例に従い、輸出主導の発展戦略にうまく適合した。従ってこれらの国々の成長パターンは、ANIEsに似ている。これらの新しい東アジア経済の成長は過去10年以上に渡って、世界の他の発展途上国よりも非常に速い。

 

 

 

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