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基礎論文抄訳2

 

公海の自由航行に関する普及啓蒙事業

オーストラリアにおける海洋安全保障分野の重要英語論文抄訳

 

SLOCの安全とアクセス

 

スタンレー・ウイークス(Stanley Weeks)

解説・翻訳:阿久津博康

 

著者紹介:

 

国際政策および安全保障問題に30年以上のキャリアを持つNATOの海洋戦略および核問題の専門家。国連海洋安全保障専門家グループの重要メンバーでもあり、現在は米国の科学応用国際コーポレーション(SAIC: Science Applications International Corporation)の上級研究員およびCSCAP海洋協力作業グループの米国代表を務めている。主な著者として「アジア太平洋における米軍」(共著、The Armed Forces of the USA in the Asia-Pacific, Allen & Unwin,近日出版予定)がある。

 

抄訳本文

 

SLOCの安全とアクセスはますます重要になっている。なぜなら、SLOCは北東アジアのみならずアジア太平洋地域全体の繁栄を支える、活発な貿易の海洋ハイウエーだからである。SLOC安全とアクセスを脅かすものには、軍事的な側面と非軍事的側面がある。軍事的脅威には.地域間紛争や機雷などがある。非軍事的脅威には、自然災害、事故、海賊、地域諸国の「忍びよる管轄権(creeping jurisdiction)」などがある。東アジアのSLOCに貿易および安全保障上の利益を持つ米国は、最近になってSLOCにおける航行自由の原則に対するコミットメントを強化した。こうしたコミットメントの強化は、他の東アジア諸国も当然見習うべきである。

 

東アジア地域のSLOCと重要な海峡

 

東アジア地域には、南シナ海、マラッカ海峡(フィリップ海峡とシンガポール海峡を含む)、スンダ、ロンボクがある。世界の商船の半数以上がこれらの海峡を通過し、南シナ海を通過し、さらにその大半が北東アジアへと航行する。マラッカ海峡一日に200隻以上が通過し、インド海洋と南シナ海の主要な中継点となっている。しかし、この海峡は国際海洋機構(IMO)の推薦基準である最高19.8メートメレの喫水よりも所々浅くなっており、最東部では1.5マイルほどの水深しかない。

 

 

 

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