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当時、地域の特色を活かし医療と行政とが連携をとっている病院としては、広島県の御調総合病院、新潟県の雪国やまと病院、岩手県の沢内村村立病院の3か所があった。こうした病院の連携などを参考に、本町における病院建設では、保健・福祉と医療を一体的に整備する「涌谷町医療福祉センターシステム構想」が生まれた。

当時、町の年間予算が35億円という時代に、本センターの事業費は43億8000万円、このうち、病院建設分は公営企業債、保健福祉棟などのその他の付属施設は自治省リーディングプロジェクト事業(長寿社会対策)によって対応し、約5年間かけてこの施設の整備を進めた。

医療従事者を確保しながら、認可病床を40、62、90と、3年くらいかけて現在の100床にまで積み重ねていった。この間は保健・福祉・医療の連携は建物の複合化だけではなく、人の連携も重視して進めてきたが、最も苦労したことは、多種多業の専門職といかに連携を図るかということであった。特に行政と医療では価値観が異なり、行政側は、予算制度の中でいかに最小の経費で最大の効果をあげられるかという既成の枠の中にとらわれがちであり、一方、医療の側では、予算ではなく、現実の医療現場にいかに対応していくかを重視しており、そこに価値観の違いが表面化した。こうした価値観の相違を解消するため、人事交流を活発にし、互いの協調できる環境をつくってきた。これには、実践の場で時間をかけながらお互いの信頼関係をつくることが一番重要となった。

 

イ 町民医療福祉センターの体制

現在、センターの最高責任者は所長(医師)となっている。これは、保健・福祉にかかる行政面についても所長が統括してやるという考えが発端になっており、健康福祉課長を所長が兼務し、その下に医療福祉センターをおく形態をとっている。

 

 

 

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