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一方、「産業分野」では、積極的な連携事例が多い。当該地方公共団体に一定の影響力をもっているであろう地元の産業関係者などから連携の必要性を訴える声があがってきた場合に、そうした声は反映されやすいであろうことや、こうした民間事業者をも巻き込んでの連携であるために地方団体の負担が比較的少ないと思われること、その割に地方団体財政に目にみえてプラスの効果が期待できること、などによるのであろう。

また、「行財政分野」でも抽出できた事例は多い。これは、利害関係者が行政関係者に限られているため調整が比較的容易であると思われることや、軽費でできるものが多いことなどから、連携に取り組みやすかったと思われる。

以下で、分野ごとに抽出できた事例を幾つか挙げ、広域連携の契機や効果、課題について分析する。

 

3) 各分野の事例の分析

 

ア. 基盤整備分野

 

基盤整備の分野では、当地城でも行われているゴミやし尿の処理を中心とする衛生関係や、広域消防などを中心とする消防・防災関係といった、従前から多くの広域行政圏などで行われている連携内容が多い。

しかしながら、近年のリサイクル意識の高揚を受けて、同じゴミ処理であっても、従来型の単なる焼却や最終処分場での埋立のみでなく、固形燃料化への取組みなど、再資源化の試みもみられる。

例えば、三重県の飯南町、飯高町、大台町、勢和村、宮川村、大宮町、紀勢町大内山村の8町村によって平成10年9月1日に設立された香肌奥伊勢資源化広域連合では、1]ごみ固形燃料(RDF)化施設やリサイクルプラザの設置・管理及び運営、2]ごみの収集、運搬及び処分、3]ごみのリサイクルに関する普及及び啓発に取り組んでいる。

RDF施設の運営を目的とした設置された広域連合は、全国でも同広域連合が初めてである。この地域は、従来2つの一部事務組合に分かれていて、それぞれ焼却炉を持ち、廃棄物の焼却処分を行っていた。だが、いずれの焼却炉も老朽化てきて、その更新が必要になってきたときに、それぞれが旧来と同様の施設を設置するよりも、一体化して新施設を設置した方が二重投資にならないで済むため財政負担を抑えることができる、充分な量のゴミの集積ができるために規模の経済が働きリサイクル事業化がしやすい、というような理由から、広域連合化してのRDF化という方向が打ち出されたようである。

 

 

 

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