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おわりに

 

本調査研究では、対象圏域とした湖南地域の現状や関連する条件、さらには事例研究などを踏まえて広域連携で圏域がめざすべき姿を明らかにし、3つの分野(6項目)について、それぞれ取り組むべき施策について提案し、さらにその推進方策を示した。

しかしこうした取組は、実際に圏域に住み、集い、活動する住民や事業所の合意と協力がなければうまくはいかない。どのように優れた仕組みをつくり、いくら情報を提供しても、公共施設を利用する住民や事業所が望まないようなものであれば、決して利用が促進されることはない。

むしろ、これからの公共施設は、その施設を利用する住民、事業所が積極的にその運営や管理に知恵を絞り、ともに利用していくようなものであることが望まれる。

そこに参加・参画する住民や事業者はいわゆる奉仕の精神だけで活動するボランティアだけではない。むしろ、自分の興味を深めたり、自己実現のために主体的に活動する、いわば文中でも述べた「コーポレーター」とでも呼ぶべき人々である。斬新なアイデアや経験に基づく指摘は必ず施設を運営していく上で大きな力となり、利用度を高め、施設を活性化させる。そうした人々の活力が広く生かされる地域づくりこそ、公共施設の運営だけでない、圏域全体のこれからの重要な課題である。

行政においては、住民のニーズに対し、より効率的・効果的に応えようとする意識とそれを実現することのできる政策立案・企画力、そして専門性を高めるとともに、こうした人々をあらゆる側面で支援していくための仕組みを見直していく必要がある。また、住民の積極的な参加を促していくため、施設運営への参画や施設活用の場づくりに取り組み、地域の気運を盛り上げていくことが大切である。

とりわけ、本調査研究で取り上げた分野だけでなく、施設利用、あるいは運営への参画に障壁となる様々な規則や慣習を取り除き、利用者・参加者の自由度を高める「システムや制度、さらには意識のバリアフリー化」をあらゆる分野で進めていくことが重要である。

 

 

 

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