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住民アクターの指示をえた東京都は最終的にはレジーム強化に成功する。企業アクターと対立しつつも説得に成功し、国家アクターに先駆けて厳しい排出基準を企業に課したのである。他の自治体でも同じようなことが起きた。こうして自治体アクターが先行した結果、ついに国家アクターも水濁法を改正し、より厳しい排出基準を課することになったのである。

大気汚染防止法の場合事情は少し異なるが、本質的には同じことが起きている。ここで重要なのは自治体アクターと企業アクターによる公害防止協定の締結である。実質的に国内最初の公害防止協定は、横浜市磯子の発電事業について横浜市と電源開発/東京電力の間で取り交わされたものが初めであるとされている。その後大気汚染防止関係で多くの公害防止協定が自治体アクターと企業との間で取り交わされた。植田等(1997)の試算によると、大手ボイラーからの二酸化硫黄排出削減に大きく寄与したのは公害防止協定であった。この意味で自治体アクターのレジーム強化における役割は大きかったと言えよう。

 

3 自治体アクターの施策とリーケージ

 

環境基本条例と施策

環境基本法の成立以降、自治体でも環境基本条例の成立が相次いだ。こうした多くの環境基本条例に環境保全の手法が展開されている。規制的手法と誘導的手法、この2つが主要な方法として述べられているが、特に誘導的手法、中でも経済的手法について触れられていることが多い。これまでの規制的手法では環境保全レジームの強化は図りにくいと考えているのである。

経済的手法には、補助金的な手法と税/課徴金による方法がある。補助金的な手法はこれまでもとられてきた。たとえば東京都では中小企業を対象に、公害防止投資の負担軽減を目的に、長期低利の資金援助(貸付金)制度を1960年から始めた。また公害防止投資のための資金需要増加に対応して、1965年から「民間資金を活用して利子と信用保証料の一部を補助する融資あっせん制度を設けた」のである(東京都職員研修所1996)。

しかしながらこの補助金政策は、環境レジームの各コアの法律および自治体レジームの上乗せ・横だしの条例があるからこそ用いられるものであって、こうしたレジームの整備なしにこうした補助金が有効に用いられる保証はない。

 

 

 

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