日本財団 図書館


 

(3) 短期的な対策の効果を高めるために社会実験を制度として導入する。

 

交通分野では、対策は、行政がその内容から実施方法まで全てに渡って詳細に決定し、実施されることがほとんどである。しかし交通分野での対策は、多くの人々に影響を与えるものであり、人々の対応の仕方によって、その効果は大きく異なるのである。

人々が満足できる対策を、最初から、しかも人々の知識が不完全の状況で、行政だけで作成するのは無理があると言える。CO2削減のように、広く人々が関心を持つ課題への対策については、行政や関係者が持つ情報を人々に伝え、全ての人々が同じ情報を持ち、対策の必要性や有効性を理解し、対策をより効果的なものにしていく知恵を出し合うことが重要である。

このために対策の実施に先立って、対策の実施を前提とせず、関心ある人々に参加してもらい、実験するということを制度として導入することが考えられる。この社会実験制度は、実験すべき対策を発案する段階、発案された対策が実験に値するか否かを検討する段階、実験を実施する段階、実験結果を基に、対策を実際に実施するか否かを検討する段階からなる。この4つの各段階それぞれに、図表4-2に示すように、人々が異なる役割で参加することを制度として保証しようというものである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION