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これらの調査の結果から得られた知見をもとに、船体形状データから不足している測度用データを補間するプログラムと、分長点および分深点位置の計算に必要な最小限のデータと計算処理手順を確認するためのプログラムを試作し、その補間法と精度の関係等を求めている。

これまでの結果を踏まえて、本部会で開発すべきトン数測度システムのコンセプトを、上甲板上の構造物を含めて検討し、整理した。新しいトン数測度システムのコンセプトは、事業所側の負担の軽減、事業所から提出されるデータの守秘、現行の測度業務との整合、結果の精度保持を重視して構成されている。

また、新システムのコンセプトの構成と並行して、海外におけるトン数測度電算化の実態調査が、 ドイツ、フランス、イギリスの測度担当機関、造船所、船級協会を訪問して行われた。調査はあらかじめ質問票を送付し、現地でその回答を基に質疑を行い、各国の測度とその電算化の実情を把握した。

各国ともそれぞれの国の事情によって、電算化への取り組みは異なっている。一部電算化がされている例もあるが、統一したシステムとして期待した結果は得られていない事が分かった。

平成9年度は、8年度に構成した新システムのコンセプトに基づいて、事業所が少ない負担で提出できるデータを使用したトン数測度システムを実際に構築し、その機能と使い勝手を評価し、改良を行った。

これまでに検討された結果をもとにトン数測度のために事業所から提出されるデータの内容、ファイルのフォーマット等についての基準を作成するとともに、この基準に基づくデータを効率よく処理するためのシステムの構成を検討し、実際に処理を行うためのトン数測度システムを開発することを目標とした。まず、入・出力データのフォーマットについて検討を行い、事業所から新システムへの入力形式と、運輸省における既存のトン数測度用フォーマットとの整合性を調査した。これによって、各事業所が、それそれに使用している船体形状線図システムから、本システムへの入力データを作成する際に必要なインターフェイスプログラムの仕様が求められた。

ついで、開発されたシステムと作成されたプログラム説明書をもとに、プログラムの各段階におけるデータ表示画面と入出力の方法を必要な機能と使い勝手の良さが備わっているかどうかの観点から検討した。

本システムの機能評価のための実データによるテストランは、既に電算システムを所有している造船所、中型造船工業会、運輸局、船舶技術研究所で行われ、精度を含めて平成8年度に構築した新システムのコンセプトを満足していることを確認した。

この新システムは、世界でも最先端のシステムと考えられ、各国のトン数測度担当当局の中には、この成果を期待しているところもある。

今後の問題として、拡張すべき機能として特殊船型への対応、上甲板上構造物への対応、各事業所の船体形状線図システムとのインターフェイスプログラムの開発等がある。また、使い勝手の向上を図る必要もある。

 

 

 

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