(2) 省令事項と告示事項の整理
船舶安全法第2条の規定に基づき国民の権利義務を規定する運輸省令である船舶構造規則には、造船技術の状況の変化が生じても容易に変わることのない、船舶の構造上本質的に必要な事項のみを規定することとした。具体的には、船体構造を構成する上で共通して必要となる構造部材の設置要件とその機能(必ずしも設置する必要はないが、設置した場合にはその機能を定める必要がある構造部材にあっては、機能要件に限る。)を定めることとした。
一方、基準の透明性と公平性を確保するために定める必要がある具体的な船体構造部材の寸法等の要件を告示で定めることとし、さらに、管海官庁が適当と認めた場合には、直接強度計算により各部材の寸法を定めることができることとした。
このような方針のもと、2.1により策定された新構造基準について、省令事項と告示事項の整理を行った。以下に、鋼船構造規程と船舶構造規則の比較の一例を示す。
鋼船構造規程(一部略)
第266条 船首隔壁ハ満載喫水線規則第5条ニ定ムル船首垂線ヲ距タルコト推進機関ヲ有セザル帆船ニ在リテハ同令第4条ニ定ムル船ノ長サ(Lf)ノ十分ノ一ヨリ小ナラザル箇所ニ、其ノ他ノ船舶ニ在リテハLfノ百分ノ五又ハ十米ノ中小ナル箇所卜Lfノ百分ノ八ノ箇所トノ間ニ之ヲ設クベシ
第275条 隔壁板ノ厚サハ左ノ算式ニヨリ算定シタルモノ以上卜為スベシ(0.4S+0.115)(H+8.35)+2.1(粍ニテ)
Sハ防撓材ノ心距(米ニテ)但シ船首隔壁ニ在リテハ防撓材ノ実際ノ心距(米ニテ)二○・一五米ヲ加へタルモノ
Hは各隔壁板ノ下縁ヨリ船ノ中心線ニ於ケル隔壁甲板マデノ距離(米ニテ)但シ該距離ガ二米未満ナルトキハ二米
第276条 隔壁防撓材ノ断面抵抗率ハ左ノ算式ニヨリ算定シタルモノ以上ト為スベシ
KSl2(H+M) (糎ノ三乗ニテ)