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設立の経緯と事業

 

運輸大臣諮問第9号「最近における科学技術の進歩に対応して船舶の性能、構造等を飛躍的に改善向上させるため、解決を要すべき造船技術上の問題点とその対策如何」に対する造船技術審議会の答申(昭和39年12月9日)に基づき、昭和40年5月(社)日本造船研究協会に造船技術開発協議会が設置された。

この協議会は、我が国における造船技術の研究開発に関する基本的方策の策定ならびに研究の総合的企画と調整等を行い、造船技術研究開発の推進と向上に貢献しようとするもので、関係者の努力でその効果をあげてきた。

しかしながら、その後世界各国の造船技術研究開発の著しい発展等に対処して、さらに本協議会の機能の強化と業務の効果的遂行を図る必要が痛感されるに至ったので、本協議会を(社)日本造船研究協会から分離し、独立の組織とすることとし、昭和44年4月15日造船技術開発協議機構が設立された。

爾来、造船技術の研究開発は、船舶の大型化、高速化、省エネルギー化、省人化及び知能化等の時代的変遷とともに、その課題がひろがり、さらに海洋の開発及び環境の保全並びに船舶の安全性の向上等、多種多様に亘る分野にまで拡大されてきている。最近では、とくにエレクトロニクス技術の進歩に伴う新しい情報技術を設計・生産に取り入れたCIMの研究も展開されており、また、超高速船やメガフロート等、新しい型式の船舶等に関する研究も積極的に行われている。

このように21世紀へ向けて、我が国の造船及び海運のますますの発展をはかるため一層の技術の高度化とその総合化が進められているが、研究開発を効率的に推進するとともに、得られた成果を効果的に活用することもまた重要な課題であり、今後その重要性はますます高まるものと考えられる。

当造船技術開発協議機構は、経済社会の変化と技術の進歩に対応して安全の確保と環境の保全はもとより、我が国造船海運の一層の発展・強化のために、研究開発の総合的企画と調整に関する調査並びに研究開発の評価など、我が国における造船技術に関する研究開発の効率化を図るための事業を行なっており、その成果として、毎年「造船技術研究開発実施計画調書」、「造船技術研究開発重要課題調書」、「造船技術研究開発発表文献目録集」等を刊行し、また、これまでに実施された研究開発の評価と研究成果の活用についての追跡評価もとりまとめ、関係方面への周知に努めている。

なお、当開発協議機構はその事業の性格から任意組織とし、事務の運営は(社)日本造船研究協会に委託されており、日本財団(会長曽野綾子)の補助事業として実施されている。

 

 

 

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