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5. 結言

 

平成9年4月から2ヶ年に亘り行った経年劣化に伴う機関性能ライフサイクルの研究が終了した。本研究の目的は、ディーゼル機関を構成する主要な機関要素の経年劣化に伴なって生じる性能低下を定量的に把握し、体系的な機関管理指針を構築することである。その結果、ディーゼル機関の高い性能及び信頼性維持が可能となる。

平成9年度に行ったシミュレーション、単体・要素試験等から得られた機関要素の劣化状態における機関性能を踏まえ、平成10年度はより実際の状態に近づけるためにC重油を使用した劣化要素の組合せ試験、過給機の経年劣化についての実船調査等を行った。研究の成果は上述した通りであり、単体あるいは複合した形で機関要素が経年劣化した場合の機関性能への影響を定量的に示したことは、実機関において機関要素の劣化を開放の都度把握すれば、機関性能に与える影響及び機関要素の交換時期決定の予測を可能とし、本研究の目的であるディーゼル機関の性能及び信頼性維持の一助になり得ると考える。

実機関の運転諸元から機関要素の劣化を把握するためには、実験機と実機関との差異を補完する要素を加味する必要があり今後の課題であるが、本研究がその為の基礎を築いたことは高く評価出来ると考える。

 

 

 

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