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1. 研究の目的

中型肥形船においては、その航路、港湾条件により船長や吃水に制限があることから、船幅、幅/吃水比を増して載貨重量、載貨容積の増加を図るいわゆる幅広浅吃水が運航上必要な条件として求められている。しかし、このような船型では、粘性抵抗成分が卓越し、船型の微妙な差異や変化が船体周りの流れに大きな影響を与え剥離や渦を発生させて推進性能や進路安定性を劣化させ、プロペラ起振力にも問題を生じひいては波浪中耐航性能に大きく影響を及ぼす可能性が少なくなく、船型の決定には多くの流体力学的性能と載貨重量・容積、推進プラント配置等の総合的諸性能のバランスがますます厳しく要求されるようになってきている。

本研究では、既存中型肥形船のデータ範囲を超える肥大度や幅/吃水比の大きな肥形船を対象にコアとなる船型及びその船型パラメータを変化させた船型変化シリーズの船型について、その基本性能を水槽試験と理論計算によって検証し評価を行い、推進性能及び実海域運航性能の評価にとって重要な波浪中性能及び操縦性能が、どのように船型の相違の影響を受けるかを調査し、併せて理論計算手法が設計ツールとして利用できる可能性及び利用法の改善について検討する。さらに運航経済性、安全性等を考慮した総合性能の評価を行った上で、載貨重量・容積、推進プラント配置等との優れたバランスを満たし、実海域運航性能に優れた中型肥形船の基本計画において実用上問題のない船型計画及び性能評価を可能とする設計指針を得ることを目的とする。

 

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