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第1章 調査研究の概要

1.調査研究の目的

運輸省は、平成8年12月、我が国における交通運輸市場が成熟段階に達しつつあること、行政改革・経済構造改革が焦眉の急であること等に鑑み、自由競争の促進により交通の分野における経済活動の一層の効率化、活性化を図る必要があるため、従来の運輸行政の転換を行い、その根幹をなしてきた「需給調整規制」を原則として廃止することを打ち出した。

これにより、フェリー事業に関しては平成13年度までに海上運送法に基づく需給調整規制が廃止されるが、一方、類似事業形態である内航RoRo船事業については、平成10年度より内航海運暫定措置事業を実施することにより「船腹調整事業」が解消されることとなり、また、これに併せて貨物フェリー(自貨定)事業の許可の「調整措置」が廃止される。

これらの規制緩和により、現在の中・長距離フェリー航路においては、運賃・スピード・船内設備・船内サービス・ターミナル設備等様々なサービス面で、事業者間の自由競争が促進され、利用者から見れば質の高い、多様なサービスの享受が可能となり、利便性が向上することが期待される。

しかしながら、全分野でのサービス向上は困難であり、特に、中・長距離フェリーは、利用者層が個人客、団体客、トラック事業者など幅が広く、利用者ニーズも各利用者層ごとに異なることが予想されるため、サービス向上の重点をどこに置くべきかを把握、分析する必要があると考えられる。

 

本調査研究は、明石海峡大橋などの本州四国連絡橋の開通に伴う航路の再編成後も存続する近畿圏発着のフェリー航路のうち、一定の収益性が見込まれることから自由競争が促進されると期待される中・長距離フェリー航路を対象として、需給調整規制廃止後の自由競争の中で、航路特性に対応した望ましいサービスの方向性の探求を中心において、中・長距離フェリー事業のあり方を検討するものである。

 

 

 

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