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序章 調査研究の概要

 

調査の背景と目的

 

神戸港は、1868年の開港以来、わが国を代表する国際貿易港として発展を続け、1967年にコンテナ船が就航した後は、いち早くコンテナ対応をすすめ、日本のみならず、アジアのハブ港として発展してきた。また、神戸港の港頭地区を事業基盤とする港湾運送業、倉庫業を中心とした物流事業も、輸出入貨物を取り扱うことにより、港の発展に伴ってその事業を維持・拡大させてきた。

 

しかし、近年、事業の合理化・効率化が限界まで進められた製造業を中心に、物流コストの低減を追求する動きが強まっており、1995年に発生した阪神・淡路大震災や地方港のコンテナ化が契機となって、神戸港の集荷力は低下してきている。

 

加えて、神戸港を利用する荷主にあっても、物流コストを少しでも抑えるために港頭地区におけるバン出しやバン詰めといった作業を極力減少させ、これらの作業は、自社の工場や物流センターで行い、コンテナ化した貨物を直接コンテナターミナルに搬出入する事例(いわゆる「素通り化」)が著しく増加しており、これが港頭地区における貨物取扱量の伸び悩みにつながっている。

 

この様な港頭地区における貨物の伸び悩みや貨物の素通り化が進行する中で、港頭地区における港湾運送事業者や倉庫業者等は厳しい経営状態に置かれており、早急な対策が必要となっている。これは、近年、アジアにおける相対的地位が低下したと言われる日本の主要港が共通して求められる課題でもある。

 

そこで、神戸港の港頭地区での物流の合理化を図るとともに、流通加工の増加、コストダウンによる港頭地区での貨物取扱量を増加させる等を行い、当該地区の物流事業を活性化させる方策を検討するために、本調査研究を行うものである。

 

 

 

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