6.2.4 試験条件
(1) けん引装置の方向性
試験台車のけん引装置は、台車枠端バリ中央で、車軸中心より580mm離れた位置に支点がある1本リンク式である。即ち、台車のボギー中心は台車中心から偏心した構造で、しかもゴムパッドで支持した車体側支点から長さ400mmのリンクの先端に位置しているため、車両の走行方向によって方向性が発生する懸念がある。これを調べるために、軌条輪の回転方向を変え、台車が先頭台車となる場合と後尾台車になる場合について試験を行う。
(2) けん引装置の回転剛性
台車のボギー中心に、回転剛性のないピン支持の場合とゴムブシュでこじり剛性を与える支持の場合について、けん引リンクを取り替えて試験を行う。
(3) 枕ばねの横剛性
昨年度の解析結果において、すべての速度域で安定な枕ばねの横剛性の適値が存在することが示唆されたので、この柔らかい横剛性と通常の横剛性のコイルばねを組み替えて試験する。
(4) 左右動ダンパの効果
試験台車には、台車枠横ばりの外側、車軸中心から980mm離れた位置に、左右動ダンパ取付け座と左右方向当り止めゴムを設けている。この位置に、ヨーダンパを付けた場合とない場合とについて試験する。
(5) ヨーダンパの効果
走行安定性に対するヨーダンパの効果の有無について試験する。
(6) 台車の方向性
今回の試験台上試験は擬似1車体モデルを用いることにより、方向性を消すことを考えたが、なおかつ固定側の台車のけん引リンクの影響で、半車体モデルでの方向性が持ち込まれる可能性があると判断されたため、台車の取付け方向を前後替えて、即ち試験台車のけん引装置が車端側に来る場合と車体中央側に来る場合の試験を行う。
(7) 車輪アタック角の影響
曲線通過の試験台上試験に於いて、内外輪の速度差に加えて車輪と軌条輪にアタック角を設けて、より実際に近い状態における横圧発生状況を試験する。
(8) 遠心力の影響
横擬曲線通過の試験で欠けている遠心力の影響を、車体の横方向に引張力を与えることにより、横圧の発生状況について試験する。