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B. テーマ:社会的側面とリハビリテーションに関するワークショップ

モデレーター:C.S.ウォルター博士

 

B) ワークショップレポート

地域社会の意識変革と協力の確保

 

議長:S.D.ゴカーレ博士

1. 地域社会の意識の変革

a) 討議に入るに先立ち、「社会の意識に変化をもたらすためには、まず回復者自らの見方を変えることが、肝心な第1歩である。」との発言が回復者の一人からあった。「ハンセン病だと診断されたとき、私は医師に死を宣告されたような気がした。そして、更に牧師に「これは、今までに犯した罪の報いだ。」と言われ、医師による宣告は裏付けられました。その精神的ショックは大きく、心理的な戦いの始まりでした。」と。もし、回復者が、心理的な自信を取り戻すことに加えて、このようなことも克服しなければならないとしたら、宗教の指導者、彼らの家族やその地域でかれらの周囲にいる人々の考え方を改めさせ、病気の本質と科学的根拠に対する理解を得なけらばならない。ハンセン病の謎を解き明かすためのこのような措置が、患者の医学的診断と同時に、始められなければならない。そして、さらに、家族、仲間そして地域社会の意識や態度の変革や強化に支えられて初めて、地域社会における回復者の、これまで通りの地位を保証することができるのである。

b) 回復者の能力強化。能力強化とは、回復者が一般市民と全く平等に政治的・社会的・経済的権利を行使できるようにすることである。それはまた、一般市民と同様に生活の向上の可能性を与え、自己発展の可能性を得るための機会を与えることでもある。しかし、この能力強化にはプラス面もあればマイナス面もある。能力強化を進める過程で、障害や制約となる法律・規制や条件がある。たとえば、教育やコミュニケーション、結婚、財産所有、参政権などは、すべて基本的な権利であり、これらの否定は人権の否定となる。こうした否定的な要因を克服するために、能力強化の進行が阻止されないように特別な努力が払われなければならない。否定的な要因を肯定的に転換するためには、地域社会やメディアの協力が不可欠であるが、最終的な目標は能力開発の機会が平等に与えられることである。

c) 地域社会基盤の情報(CBI)・教育キャンペーンで、病気とその治療について、また、回復者の権利や責任について情報を提供することが、地域社会全体や回復者自身を教育・啓発する最も効果的な方法だと考えられてきた。このようなキャンペーンは、NGO、行政側と回復者の協力のもとで、地域・州・国家レベルなどで行われるのが望ましいと考えられてきた。NGO各組織とともにメディアが支援すれば、キャンペーンの補足や持続に大いに役立つだろう。

d) メディア。メディアがスティグマの打破に果たす役割は大きい。さまざまな国々の事情を聞くと、電波によるメディアや報道メディアに、ハンセン病に関する最新の科学的情報がなく、その結果、固定観念のイメージに頼り、社会的なスティグマを生み出している。

 

 

 

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