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報告書発刊にあたって

「補聴援助システムとリハビリテーション普及啓発」事業

実行委員長 山口武彦

去る1月16日から17日にわたって開催しましたシンポジウムは関係者の大きな期待の中で、好評の内に終了出来ました。ご支援頂いた日本財団を始め、ご賛助頂いた企業、団体、執筆やパネラーとしてご協力頂いた各位、参加者、多くのボランティアの皆様に実行委員を代表しまして心よりお礼申し上げます。

案内書に記しておりますように人工内耳を始め、補聴器、周辺機器などは日々進歩しており、また機器の活用や難聴者のリハビリテーションでも各地で優れた実践や成果が生まれつつあります。

社会の高齢化で難聴者の増加は著しく、多くの人々が難聴を克服するために積極的な補聴援助システムの活用が望まれます。しかし補聴器の利用件数、人工内耳などの我が国の普及状況をみましても先進国と比べると遅れた状況で、いろいろな疎外原因があるものと思われます。

聞こえないことがどれほど生活の質、生きている充実感を損ねているか、人格や人間形成の上で影響を与えているか、自立の上で如何にバリアになっているかの社会的な理解や対策は進まないでいます。

シンポジウムでも語られましたが、障害者プランや福祉のまちづくり計画の中でも具体的な対策はほとんど採られていない状況にあります。医療・福祉制度、教育制度、福祉機器の流通や啓発の仕組みにも問題が内在しています。

シンポジウムの準備を進める中で、シンポジウムへの教育や医療、福祉施設分野からの強い期待を実感しました。

そのことはこう言った問題を広く討議し、情報を得る機会がこれまで無かったこと、また医療、福祉制度、リハビリ施設、教育、障害者団体がそれぞれ必要な社会的分担をし、連携することの大切なことを反映していると思いました。リハビリテーションが一つの専門分野だけで対応できるものでなく、多くの専門分野の協力と連携が欠かせないというシンポジウムでの発言を実感できました。

シンポジウム会場ではOHPやスライドなどを活用して討議が進められました。又聞こえない参加者への情報保障として手話、要約筆記、パソコンリアルタイム筆記通訳、磁気ループ、赤外線システムなどを揃え、現在で考えられる最善をつくしました。しかし会場が広かったことなどから見にくかった点もあり、報告集でいくらかでもこういった不足分が補えればという気持ちで報告集の作成に取り組みましたが、時間的、人的制約から不十分なものしか出来ず、不行き届きの点お詫び申し上げます。

報告集は資料集と合わせて活用頂き、それぞれの分野でいくらかでもご活用頂ければ、望外の幸せです。

 

 

 

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